フィンランド/フィンランド基本情報

フィンランドの治安とトラブル

フィンランドは、イメージどおり治安はとてもよい国だと言ってよいと思います。しかし、特に観光シーズンにはしばしば何らかの被害報告が届けられていますし、「安心だから」という気のゆるみこそが、実は最大の敵。地元の人たちのゆるい心構えに同調しすぎず、万が一のことを考えて慎重に我が身や貴重品を守りましょう。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド

フィンランドののんびり・安全ムードに気を緩め過ぎないで!

駅構内

人が多い上に、荷物が多くて身動きがとりづらく、両替所もある駅構内は、ひったくりなど軽犯罪が起こりやすい場所のひとつ。荷物や現金の管理には十分に注意して

フィンランドは、おそらく皆さんのイメージにもある通りに、概してとても治安の良い国だといえます。暗く人通りの少ないところを単身で歩かない、貴重品をきっちり自己管理するなど、日本の都市部で生活している際にごく当たり前に気をつけることを実践していれば、犯罪に巻き込まれる可能性はとても少ないはずです。

とはいえ夏の観光シーズンなどは、やはり観光客を狙った軽犯罪の件数が上がります。とりわけ近年は、都市部を中心に悪質な窃盗やトラブルが多発しており、一目で観光客であることがわかってしまうアジア人は特に、街なかで気を緩めるわけにはいきません。また、昨今ヨーロッパ各地で痛ましいテロ事件が多発しており、フィンランドでも2017年8月に、トゥルク市の中心街において無差別殺傷事件が発生し、国内初のテロ事件として捜査が進められています。隣のスウェーデンやロシアでも、近年こうしたテロ事件が発生しているのが現状です。

カフェ

カフェでは、たとえフィンランド人が荷物で席をとっていても、真似をしないのが無難

過去に報告された観光客を狙った軽犯罪の事例としては、圧倒的に多いのがレストランやカフェ、ホテルなどで席を取るつもりで置いた荷物の置き引き。実は、当のフィンランド人たちは置き引きという感覚に対して良くも悪くもとてもルーズで、平気でカバンや所持品などで席をとったり、上着や荷物を店頭の無料ロッカーにかけっぱなしにするのが習慣化しています。ああ大丈夫なのね、とその雰囲気に流されてつい気を緩めてしまうと、パスポートの入っていた大事なカバンを取られてしまう……といった危険性もあることを忘れないでください。

 

マーケット

マーケット内は、通路が狭くさりげなくカバンの中を狙われやすいので注意!

その他に、屋内マーケットなど狭い通路の続く場所での買い物に集中している間にこっそりとリュックからものを盗られたり、にこやかに近づいてきて会話を楽しんでいるうちにお金を貸してほしいと頼まれて、そのまま煙にまかれたり、などといった報告事例が過去にあります。

もちろん、旅行中はあまりぴりぴりせず、フィンランドならではの緩い雰囲気や人びととのあたたかなコミュニケーションを満喫してほしいのですが、この国に限って言えば、ついつい気を抜き過ぎないことが、自分を守る一番の鍵だということをよく頭に入れておいてくださいね。

 

被害に遭ってしまったら

もし自身が犯行に気がついたり、犯行現場に居合わせたときは、大声で「アプア!(Apua=助けて!)」または「ヴァラス!(Varas=泥棒!)」と叫び、周囲の気を引きましょう。犯罪を未然に防ぐことができるかもしれません。また運悪く、気がついたら荷物がなくなっていたり何かトラブルに巻き込まれたり、という場合には、落ち着いて警察に届けましょう。1人でパニックにならず、周囲の人々やホテルマンに助けを求めるのも手ですし、日本語でないと不安ならば、まず在フィンランド日本大使館に連絡を入れて確実に事情を伝えるのも有効な手段です。

パスポートの再発行や旅行保険の請求の際には、警察で発行してもらった盗難証明書が必要になります。万が一の場合に備えて、パスポートと航空券のコピー、パスポート写真2枚(パスポートの再発行に必要)、トラベラーズチェックやクレジットカードの番号控えなどを、貴重品とは別に準備・所持しておくことも大切です。

テロ事件に備える方法は?

残念ながら、いつどこで何が起こるかわからないテロ事件に対して、確実に備える方法というのは誰にもわかりません。ですが一般的には、以下のような場所が標的にされやすいと言われています。観光施設、観光地周辺の道路、記念日・祝祭日等のイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、ナイトクラブ、映画館等人が多く集まる施設、教会・モスク等宗教関係施設、公共交通機関、政府関連施設(特に軍,警察,治安関係施設)。こういった場所を訪れるときは、なにか不測の事態が起こっても冷静沈着に避難ができるよう、経路や取るべき行動を確認しておくと良い心構えになります。

万が一なにか事件に巻き込まれた際、滞在国やエリアで事件が起こった際に、自分の居場所や安否についての情報共有がスムーズにできるよう、外務省が推奨する「たびレジ」への登録なども確実に行なっておきましょう。あとは、旅の直前だけでなく、滞在中も随時現地で最新情報の収集をおこなう努力も大切です。

<フィンランド国内の緊急連絡先>
■警察・救急・消防:112(すべて共通)

在フィンランド日本大使館(ヘルシンキ)
住所:Unioninkatu 20-22, 00130 Helsinki
※ビル1階にある総合受付で「日本大使館へ来た」旨を伝えた上で、エレベーターに乗り5階へ
TEL:+358 9 686 0200
領事部・広報部受付時間:6~8月:9:00~12:00、13:30~16:00
9~5月:9:30~12:00、13:30~16:30

次ページでは、フィンランドならではのありがちなトラブルを一挙紹介。
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