リアルで共感できる?おすすめの恋愛映画、邦画編!
女性が大好物の恋愛映画。恋愛を疑似体験させてくれるという意味では、ハリウッドの恋愛ものよりも、やはり日本の恋愛映画の方が、よりリアルで共感度も高い。洋画の恋愛が夢物語なら、邦画の恋愛は「もしかして私にも」と思ったり「同じ経験がある」と思い出したりできる現実に近い世界だからでしょう。というわけで、風変りな恋から情感溢れる恋まで10作品をピックアップ。恋愛力を高めてくれる……かもしませんよ!
涙ポロリの泣ける恋
『Love Letter』(1995年度作品)映画ファンの間でカリスマ的な人気を誇る岩井俊二監督の長編デビュー作。亡くなった婚約者が忘れられない博子は、婚約者がかつて住んでいた場所に手紙を出してみた。そしたらなんと返事が来た! この件をきっかけに博子と婚約者の過去が蘇っていく……。婚約者の死から逃れられず夢の世界を生きているような、ヒロインのフワフワとした佇まいを中山美穂が好演。博子が婚約者に溢れる気持ちをほとばしらせ「お元気ですかー?」と叫ぶシーンは胸にグーっと突き刺さる。どんなに叫んでも返事は返ってこないのに、愛を叫ぶ彼女に感涙!
監督:岩井俊二
出演:中山美穂,、豊川悦司、酒井美紀、范文雀、中村久美、加賀まりこ、柏原崇ほか
『ジョゼと虎と魚たち』(2003年度作品)
田辺聖子の短編小説の映画化。足が不自由なジョゼと知り合った大学生の恒夫。ぶっきらぼうだけど、自分の世界を持っているジョゼに惹かれ、彼女と付き合うようになるけれど、次第に彼女の障害が恒夫の心に重くのしかかってくる……。裏切りたくない、彼女を傷つけたくない、でも一生ジョゼを背負っていけるのか……。そんな恒夫の気持ちに気付くジョゼ。好きなのに添い遂げられない二人の愛が切ない!本当に愛があるからこそジョゼも恒夫も辛いのです。愛って残酷だなあ……と思わずにいられない恋愛映画の傑作!
監督:犬童一心
出演:妻夫木聡、池脇千鶴、新井浩文、上野樹里ほか
『パーマネント野ばら』(2010年度作品)
西原理恵子の原作を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化。海辺の町を舞台に、シングルマザーのなおこと彼女を取り巻く家族や親友の関係を描きつつ、後半はなおこと恋人カシマの謎めいた恋愛が紐解かれていく。その関係の真実に仰天しつつも、なおこを温かく包む周囲の人々の優しさに号泣。登場する女性たちがみんな傷をかかえながらもたくましい。不幸な恋でも飛び込む強さを持った彼女たちは、愛情深く、それが人間的な魅力に繋がっていく。恋は人間力を高めてくれるのだな~と思える、切ないけど温かい恋愛映画です。
監督:吉田大八
出演:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介ほか
個性派監督が描く楽しく激しい恋
『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009年度作品)
青森で野菜作りをしている純朴な陽人が、東京からやってきた保育士の町子に恋をする物語。子供のような陽人は「好きだ、好きだ」と町子先生を追いかけまわし、情熱とともにとんでもない方向へと走り出す……。一途な陽人のギョッとするような行動は、町子先生の愛を得るために、ラストまで一気に疾走していきます。その姿はうっとうしいのを通り越して、唖然とさせるほど。監督の出身地の青森で撮影され、この地の大自然が、不思議なラブファンタジーに一役買っていますね。
監督:横浜聡子
出演:松山ケンイチ、麻生久美子、ノゾエ征爾、ARATA、藤田弓子、原田芳雄、渡辺美佐子ほか
『空気人形』(2009年度作品)
中年男が大切にしていた空気人形に、ある日生命が吹き込まれ、動き始める。そして彼女はレンタルビデオ屋の店員に恋をする……。『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど、いまや名匠の是枝裕和監督の作品群の中では、ちょっと異質なエロティック・ラブファンタジー。中年男にとって空気人形は飽きたらポイできる存在で、そこに愛はないけれど、空気人形の心に寄り添ってくれたビデオ屋の店員との関係には、相手を大切にする気持ちがあった。設定は風変りだけど、その心は意外とストレートな正統派ラブ。
監督:是枝裕和
出演:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里ほか
『モテキ』(2011年度作品)
久保ミツロウの同名人気漫画を大根仁監督がドラマ化。ドラマのその後を描いたのが本作です。時代を物語るカルチャーを網羅しつつ、モテキ到来にあたふたするイケてない男の本音が綴られ、男性は共感度が高い作品。しかし、女性が見ると「男の下心ってヤツは!」と、よく言えば繊細、悪く言えば小心者の一面を可愛いと思ったり呆れたり……。男女で感想がまったく異なりそうな青春ラブストーリー。数年後に見返すと、2010年前後の流行、風俗描写を懐かしく感じるかも。(ドラマ未見でも楽しめます!)
監督:大根仁
出演:森山未來、長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子ほか
『愛と誠』(2012年度作品)
梶原一騎・ながやす巧による昭和の有名漫画を三池崇史監督が映画化。不良とお嬢様の濃厚な愛をなんとミュージカルで魅せていきます。大暴れする誠を止める愛、その愛に暑苦しい愛情をぶつけてくる岩清水。この3人のいびつな三角関係が楽しい。恋の切なさとかまったく感じませんが、気持ちを包み隠さない登場人物たちのストレートな愛情表現は気持ちいいほど。昭和歌謡を加味してエンタティメントに昇華した三池監督の力技はお見事! 歌って踊る役者陣も素晴らしい! 恋愛エンタメ映画の決定版でしょう。
監督:三池崇史
出演:妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史郎、一青窈、余貴美子、伊原剛志、市村正親ほか
絆を感じる夫婦愛にしんみり感動
『ぐるりのこと。』(2008年度作品)
几帳面な性格の翔子と優柔不断で生活力のないカナオの夫婦に子供が誕生。ささやかな幸福を噛みしめていけれど、その子が亡くなり、翔子はうつ病になってしまう……。淡々と過ぎる日常の中で、翔子の病がときどきたてる波風にハっとさせられます。法廷画家の仕事を得て、妻を支えながら時代を映し出す事件を描いていくカナオは、ありのままの妻を受け入れ、変わらない。それが妻への愛情なのかも。これみよがしに愛情を押し付けず、でもすべてを受け止める。そんな夫婦の姿に静かな愛を感じます。
監督:橋口亮輔
出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明、木村祐一、斎藤洋介、温水洋一、峯村リエ、山中崇、加瀬亮ほか
『今度は愛妻家』(2009年度作品)
ロクに仕事もしない写真家の俊介は、旅行に行く直前の妻のさくらから「子供が欲しくないなら別れて」と言われてしまう。それでも妻の不在中、若い女を家に連れ込み、考える様子がない俊介だが……。前半はしっかり者の妻とダラしない夫のありがち夫婦の物語かと思ったら、後半、俊介の寂しさの正体が明かされ、失って初めて気づくこと、後悔、愛情が一気に押し寄せてきて号泣! 既婚者は「もしこういうことがあったら」と想像して泣き、独身者は夫婦の絆の深さに気付かされしみじみ感動すること必至です。
監督:行定勲
出演:豊川悦司、薬師丸ひろ子、水川あさみ、濱田岳、城田優、津田寛治、井川遥、石橋蓮司ほか
『舟を編む』(2012年度作品)
三浦しをんの同名小説の映画化。辞書編集部に異動になった馬締が、辞書作りに格闘しながらも、下宿先の大家の姪・香具矢との愛情を育んでいく物語。恋愛よりも辞書作りにスポットがあてられていますが、馬締が一目惚れして変化していく様、理屈っぽい手紙を香具矢に怒られ、ストレートに告白する姿など心がほっこりと温かくなります。夫婦になってからは平凡こそ幸福そのものといった感じ。「この二人、なんかいいよね」と思わずにいられない。”いい夫婦の日”とかに登場しそうなカップルです。
監督:石井裕也
出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、渡辺美佐子、池脇千鶴、鶴見辰吾、宇野祥平、又吉直樹ほか
(C)2013「舟を編む」製作委員会
『花より男子』『君に届け』『今、恋をはじめます』など、キラキラした青春ラブストーリーが入っていなくてすみません! そっち系が好きな人は「え~なんでぇ!」と思うかも。青春キラキラ系のラブはまた改めて特集するので、しばしお待ちくださいませ!
でもたまには、こういう大人の愛、夫婦愛、へんてこな愛の世界を見るのも悪くないですよ。