テクノポップ/アーティストインタヴュー

ウクライナの歌姫イリーナ・ビリク~激動の時代(2ページ目)

ウクライナの伝説の歌姫、イリーナ・ビリクにインタヴュー! 10歳で曲を作り始め、ビル・クリントン元大統領の前でウクライナ代表として歌い、現在のウクライナのポップ・シーンを開拓した先駆者。おまけにインタヴュー中、あの「カチューシャ」まで歌ってくれました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ソ連崩壊による変化

ガイド:
あなたがまだティーンエイジャーだった頃、ウクライナはソ連の一部でしたよね。国家として独立して、どのように変わっていったのでしょうか?

イリーナ:

irina

イリーナ・ビリク

至極良くなったわ。ウクライナには2つしかスタジオがなかったから、私は以前レコーディングさえも出来なかった。もし歌が好かれたとしても、10人の人たちを通して、様々な許可を貰わなくてはいけなかった。若い人たちには到底できないし、30歳から40歳の有名なアーティストのみが出来る事。私はお金もなく、全てのルールに逆らって、才能のみでレコーディングを敢行した最初の歌手の一人だから、ウクライナで新しい音楽の潮流を作ったと人々は言うわ。20歳そこそこの娘をスタジオに入れるのは全くの非常識だったから、みんな私の事にすぐさま興味を持ってくれたわ。それ以降、みんな私の事を見たがり、聴きたがり、レコーディングをしたがってくれたわ……。

 

学校では、私の声がケイト・ブッシュのようだと聴きたがった。最近、インターネットでケイト・ブッシュの写真を見たのだけど、彼女が老けてしまっているのを見て驚いたわ。私はまだ若く見えるけど(笑)。私が小さい頃から、みんな私を彼女と比較したがったわ。私の声は彼女に似ていたから。彼女は女王陛下によって認められたけど、私は私の事が好きな全ての国家元首によって認められるかもしれない(笑)。全てのウクライナの大統領たちは私の事を尊敬してくれるわ。たぶん、ウクライナでオルタナティブな歌手を好きになる事は一般的ではないから、それを表明はしないけど。でも、誰も私の道を阻んでこなかった。みんな、誕生日パーティーにも呼んでくれたわ。大統領は私の事が好きみたい、ビル・クリントンでさえもね。

ビル・クリントンの前で歌った時の事

ガイド:
あなたはビル・クリントン元アメリカ大統領の前で歌ったのですよね。どういうきっかけで? そして、どうでしたか?

イリーナ:
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イリーナ・ビリクとビル・クリントン

それは、1997年の事。アメリカ大使館によってアメリカ大統領の前で歌うウクライナの歌手についての世論調査があったと記憶しているわ。ほとんどの人たちが私がすべきと言ってくれたの。私は政治的な歌を歌わないで、愛についてだけ歌っていたから。大統領に会った時、私は初めてヒラリー夫人にも会ったの。彼女はとても美しかった。私は彼女が大統領と一緒に来るとは期待していなかったの。ちょうど、モニカ・ルインスキー・スキャンダルの時だったから。挨拶に彼らが私の所に来た時、私はビルに対して、「あなたはとっても美しい奥様がいますね!」と言わずにおられなかった。彼女はそれを聴いていて、大統領は微笑んだわ。でも、それは彼に対する褒め言葉ではなかった(笑)。私と他のウクライナのアーティストの違いは、私はいつも真実を言う事。

 

ガイド:
ビルはあなたの質問に答えてくれましたか?

イリーナ:
それは質問ではなかったわ。ヒラリー以上にいい女性はいないという意味で彼の奥様は美しいと言っただけ。彼女の前で、モニカの話題は持ち出さないわ。その褒め言葉の中に私が言いたかったのは、それだけ。ビルが立ちさろうとした時、私のプロデューサーが来て、一緒に写真を撮るようにお願いをしたの。彼にはとても強者の警備隊が付いていて、彼に近寄るのは難しい。彼は、彼のカメラマンに私たちと一緒の写真を撮るように頼んでくれて、2週間後にホワイトハウスから2枚の写真が送られてきたわ。彼はとても気がつくの。だから、モニカだけが気に入った訳ではないの(笑)。

 

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