テクノポップ/アーティストインタヴュー

祝ミュージックフェア初出演! アーバンギャルドBEST(4ページ目)

遂に、ミュージックフェアにも登場したアーバンギャルド! 同時に新曲・未収録曲も含めた5年間の集大成となるベスト・アルバム『恋と革命とアーバンギャルド』を6月19日にリリース! ここまでの歩みとこれからの予感を探るべき、松永天馬さんと浜崎容子さんにお話を伺いました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

少女都市計画 (2nd)

ガイド:
2ndアルバム『少女都市計画』(2009年)からは、(track 7)「コンクリートガール」と(track 8)「修正主義者」。でも、「修正主義者」(2007年)は、1stシングルからと紹介するべきですね。「コンクリートガール」はそのタイトルからも、Perfumeを連想したのですが、こうして聴き返すと80年代のMoonridersを感じます。やはりその辺り、アーバンギャルドの重要な遺伝子なんでしょうね。

松永:
urbangardelive

アーバンギャルド・ライヴ

『少女都市計画』は全体的にテクノ色が強いアルバムで、出してきた五枚のアルバムの中では最も人気がないんですが、僕は好きです。自分で聴き返すことの一番多いアルバムかも。ちょっと大人っぽいというか、都会に降る雨がコンクリートに染みていくような滋味がある。
「コンクリートガール」のアレンジは谷地村とかなり練った記憶があります。当時のインタビューでも言ってますが、マッチョなベースやドラムに対して、フェミニンでかわいらしいウワモノというギャップを心がけました。「かわいい上半身に、イカツイ下半身」とか言って説明してたと思います。『カメラ=万年筆』で幕をあける80年代のムーンライダーズといえばアバンギャルドな作品群が頭に浮かびますが、いくら崩してもポップさを外さないという点は我々も大事にしている部分です。都市のミュージック・コンクレートは、夢の残骸でなければならないんですよ。

浜崎:
私は個人的にこのアルバムが一番好きです。勿論すべてのアルバム気に入っていますが「都市計画」は全体的に重く、コンセプチュアルで。それまでも出していましたが、このアルバムからものすごくアレンジに口出しするようになったのを思い出します。音色もわざわざHDDを持って行って「これを使ってくれ」と細かく指定して。そういった個人的趣味の意味合いでもアーバンギャルドの今まで出したアルバムの中で特に気に入ってますね。曲数が少ないのも好きです(笑)。

少女の証明 (3rd)~あした地震がおこったら

ガイド:
少女三部作としての締めくくりとなった3rdアルバム『少女の証明』(2010年)からは、(track 9) 「傷だらけのマリア」。いや、これは、(track 10)「あした地震がおこったら」との2曲セットで考えれば、2ndシングル『傷だらけのマリア』からと言うべきでしょうか?「あした地震がおこったら」がリリースされてから、実際に大地震が起こってしまいました。少女の視線が泣けるカタスロフィック・ラヴソング。この曲をベストに入れた理由は?

松永:
『少女の証明』は他にもいい曲沢山あるんですけど収録曲数の都合上「あした地震がおこったら」を入れるため、泣く泣くカットしました。
この曲を書いたのは東日本大震災の前年。世間は今より少しだけ浮かれていましたし、夜の渋谷や新宿も(実際的にも比喩的にも)今より少しだけ明るかったけれど、僕にはそれが虚構に見えた。というか、一枚岩であるように思えたんですね。日常の皮膚をぺりっと剥がせば廃墟が見えるというか。とりわけ東京は極度に記号的な街だから、なおさら危ういリアルの上に屹立しているように見えた。この曲で起こっている地震は過去形と未来形を行ったり来たりし、既に起こったものか、仮定かを混同させるつくりになっているけれど、それは「震災以後」である今も同じ。放射能は見えず、原発事故は収束せず、次なる大地震がいつ訪れるか分からず、だけど日常は淡々と流れている。「東京はなかった」というフレーズは、今も昔も、これからも僕がこの街に生きていく上での実感です。

浜崎:
「あした地震~」は最初にデモ段階からとても気に入っていました。特に歌詞の世界観が。この楽曲に関しては個人的にあまり多くを語りたくないですね。とりあえず、聴いてもらいたいです。
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