映画/口コミでおすすめの文芸映画(邦画)

軽薄な色男を市川雷蔵が完璧に演じる「好色一代男」

「好色一代男」は井原西鶴の処女作が原作。物語もさることながら、市川雷蔵の堂に入った演技に注目ください。なよっとしていて底なしに軽薄で、ただひたすら女性を崇拝している、そんな男を完璧に演じています。また増村監督の撮る江戸、特に室内の光や着物の撮り方にご注目ください。他の監督の作品では出会えない光が、本作には満ち満ちています。

投稿記事

井原西鶴の処女作が原作、色男の結末とは


色男、世之介は、さんざん女性と関係をもったあげく、死の間際にあった父親にさる言葉でとどめをさし、手に入った遺産をまた女遊びにつぎ込む。
役所から目をつけられ、居場所がなくなると、「好色丸」なる船に乗り、どこにあるとも知れない「女護が島」を目指して日本を出る、というナンセンスな物語。

けれども観終わったあと、奇妙な感慨がじわじわと湧いてきたから不思議です。
どんなことがあってもへこたれずに女遊びに精進し、最後には女性しかいない島へと旅立つ。
このばかばかしさが、どこか仏の道へと通じているような気さえしてきます。
思わず、偉い、と口をついて出そうになりました。


物語もさることながら、ご注目いただきたいのは、世之介を演じる市川雷蔵の堂に入った演技。
なよっとしていて底なしに軽薄で、ただひたすら女性を崇拝している、そんな男を完璧に演じています。彼以外にこんな役はできないんじゃないでしょうか。『アラビアのロレンス』でロレンス少尉を演じたピーター・オトゥールと同様。

あともうひとつ、増村監督の撮る江戸、特に室内の光や着物の撮り方にご注目ください。
おそらく、他の監督の作品では出会えない光が、本作には満ち満ちています。


■好色一代男
監督:増村保造
主演:市川雷蔵、若尾文子
DVD発売元:角川書店

【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonで洋画・邦画の DVD をチェック!楽天市場で洋画・邦画の DVD をチェック!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます