戦争映画とひとくくりにするのはもったいない映画
『あゝ予科練』
■監督村山新治
■主演
鶴田浩二、梅宮辰夫
■DVD販売元
東映ビデオ
若い新入の予科練生5名の入隊から出征までを追った物語。
予科練に入隊した5名は、厳しさのために自殺者も出るような訓練に耐えぬく。
やがてそれぞれが別々に出征することなる。
厳しい訓練を通し芽生える友情と、彼らにつきまとう戦争による試練を繊細に描く。
幾万と散っていった日本人が、人から兵士に作り上げられたさまをせきららに、そしていきいきと描かれています。
でてくる予科練生のひとりひとりに違う家族があり、思い、思われる人々がいて、感じていることが伝わってきます。
もしも、自分があの時代に生きていたら、こんな風になっただろう、こんな風に感じただろうということを容易に想像させてくれるような映画です。
ただの戦争映画とひとくくりにするのは本当にもったいないです。
日本が通ってきた歴史としても重要ですし、世界にはいまなお同じような思いを持って生きている人々がいるということをリアルに意識させてくれます。
印象的だったのは、後半、最後の休暇を、それぞれに過ごすシーンです。
きっと、みんなあの時間を心に焼き付けて旅立っていったのだろうな、と思いました。
見ている側の心にも焼きつきます。
つらい思い出がよみがえるから、戦時ことはあまり話したくない、という老人は意外と多いものです。
戦後70年以上たつ今、そんな人たちも、戦時の経験と共に亡くなろうとしています。
だからこそ、戦時を生きた人が多く関わって作り上げられたこの映画は貴重だと思います。
戦争がなくならない限り、これから先もずっと残していってほしい一本です。