組織に組み込まれていく若者たちをドキュメンタリータッチで描いたスパイ映画
『陸軍中野学校』
■監督
増村保造
■主演
市川雷蔵、小川真由美
■DVD発売元
角川書店
■価格
2940円
『でんきくらげ』から『兵隊やくざ』『御用牙』『曾根崎心中』『この子の七つのお祝いに』など、あらゆるジャンルの映画を独特のクドさで手がけ、大映ドラマの基礎を築いたことでも有名な増村保造が監督。
戦前~戦中に実在した、大日本帝国陸軍のスパイ養成機関・陸軍中野学校が舞台。
『眠狂四郎』シリーズなどに主演し、気品ある端正なルックスとクールな雰囲気で世の女性を魅了していた市川雷蔵演じる三好次郎が一人前のスパイになるまでをシャープに描いています。
1938年、極秘命令を受けた次郎は、許嫁の雪子には出張と偽り一路東京へ。
その極秘命令とはスパイ学校への入学でした。次郎はじめ、招集された18名の陸軍少尉たちは家族たちとの接触を一切断たれ、変名を与えられた上、中野学校での生活を開始。一方、そんなこととは知らず次郎の行方を探す雪子は、陸軍参謀省のタイピストに就職します。
過酷な訓練を経て、英国領事館の暗号内容の入手を卒業試験として命じられた次郎たち。
見事、作戦が成功したものの、その暗号はすぐに変更されてしまいます。
「作戦の情報が漏れているのでは」と考えた彼らは参謀本部を訪れ、そこで雪子を見つけた次郎は不審を抱きます。
国のためにどんどん非情になっていく次郎たち。
戦場以外の戦争をハードボイルドに描いた傑作戦争スパイ映画です。