誰しもが体験する孤独と老いをコメディ映画で描いた作品
■監督小津安二郎
■主演
岩下志麻
■DVD販売元:
松竹
■おすすめの理由
日本映画界の巨匠である小津安二郎監督の最後の作品としても有名な「秋刀魚の味」のご紹介です。
小津監督らしい美しい言葉づかいや、粋な表現が印象的。
ストーリーは、娘と父、老いと孤独という深刻なテーマをユーモアたっぷりに綴られており、妻に先立たれた男、そしてその子供達の幸せの中と同時に心のどこかに潜む孤独や寂しさが描かれた作品です。
人間誰しもが体験する孤独と老いを小津安二郎ならではのコメディ映画として小津ファンに根強い作品!
時は東京オリンピックを翌年に控えた昭和37年、この年の松竹映画55本中で配給収入第4位の大ヒットになったそうです。
主演の岩下志麻さんの初々しさや控えな風貌も見どころの一つ!!
現在の大女優のイメージしかなかった私はこの映画を観て、改めて岩下志麻さんの気品や美しさに圧倒されました。
映画は全体的におだやかでほのぼのとした展開が続いていきます。
しかし、そんな中にも人間が生きていく「人生」において幸せや幸福ばかりではなく、厳しさや悲しみが伴うことが描かれています。
生きる上で感じるどうしようもなく、何とも言い難い「空しさ」を感じずにはいられません。
遺作となった本作は小津監督からの「生きる」という上での大切なメッセージが込められているかのように思える、そんな作品です。