土地活用のノウハウ/土地活用の税金・相続関連情報

REIT破綻から学ぶ 不動産投資の極意1(3ページ目)

10月9日、東京地裁にニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生手続きの申請を行い、同日、受理されたと発表しました。

佐藤 益弘

執筆者:佐藤 益弘

不動産にまつわるお金ガイド

学べるポイント(2) 信用収縮


さて、もう1つの理由は、サブプライムローン問題により、市場自体に資金が入らなくなった、つまり、「信用収縮が起きてしまった」ということです。

サブプライムローン(低所得者向け高金利住宅ローン)問題については、外国株入門のガイド戸松信博さんがわかりやすく説明してくれているので、そちらを見ていただければ・・・と思います。

REITの市場価格の推移は、東証REIT指数などを見ていただければ、わかると思いますが、ここ数年の、主なREITの買い手は外国人でした。株式もそうですが、その外国人が先程の不動産市況の下落とサブプライム問題により、REITを売却し、資金を回収し始めたので、REITの価格自体が下落したと思われます。

また、REITは仕組み上、内部留保、つまり、私たちで言うと「万が一のために持っている余裕資金~預貯金」を持ってない会社です。つまり、何かあったときの頼みの綱は、1.金融機関(銀行)からの借入れ か、2.運営母体などからの出資を募る(増資) になります。

一般的な不動産投資は、REITも含め、借入(レバレッジ)をすることで、投資利回りを上昇させる手法を取っています。
詳しくは、「不動産投資の基礎~レバレッジ効果」をご覧下さい。

ある意味、この効果が不動産投資の魅力でもあるのですが、コントロール不能になるレベルまで借入れを起こすと・・・身を滅ぼすことになってしまうと言うことです。

つまり、目一杯借入れを起こしている場合、外部的な要因(今回はサブプライム問題)で、万が一の時に借入を起こせない・・・つまり、資金繰りが続かない状況に陥ります。

多くのREITでは、決められた借入れの範囲内で借入れを起こしているのですが、長期の借入れと短期の借入れを組み合わせて・・・つまり、借入れで資金繰りを繋げている状況です。
担保である不動産価格が安定していれば問題ありませんが、バブル崩壊の時のような急激な不動産融資の絞り込み~いつか来た道~に逢うと、さまに「アウト」になってしまうわけです。
また、借入れ限度を超えそうな場合、計画的に増資を行い、資金繰りを確保しています。


今回のニューシティ・レジデンス投資法人のケースでは、
1)サブプライムローン問題で国内外の金融機関が不動産関連融資を絞ったため、借入金の借り換えができなくなった
2)新規の大型物件を購入することになっていたが、その融資もつかず、購入予定の物件を売却することも契約上困難
3)株価に当たる投資口価格の下落で増資も難しい

10月に期限を迎える借入金の返済が難しい
ということだったようです。

一説によると、純資産(見た目の財産と借金を引いた実質的な財産)はあるので、大口の出資先である地銀は「(長期的には)心配していない」というコメントを出しているところもあります。
典型的な黒字倒産ということですね。


まだまだ言えることはたくさんありますが、端的にまとめると不動産投資をしている個人が今回のことを全体的な視点から学べるポイントは以上のようになります。

次回は、 破綻した理由(2)個々のREITの問題 をお伝えします。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます