古典的な紙の辞書
たくさんの語彙が飛び込んでくるのが魅力
余談ですが、90年代に韓国語の学習を始めた私は、もちろん「紙の辞書」で韓国語学習を開始しました。まず、先ほどご紹介した『朝鮮語辞典』を傍らに、韓国に留学した際は学校へ持ち運ぶために少し小さめの「日韓・韓日」両方が引ける辞書を購入しました(『ポータブル日韓・韓日辞典』(民衆書林))。かばんはいつも重かったですね。
その後電子辞書の時代が到来してからも、「紙の辞書」にこだわり続けました。理由は、冒頭で申し上げたような、「語学の勉強 =(イコール)、紙の辞書!」「辞書を使い込んでなんぼ」「辞書がボロボロになって一人前」といった、ほぼ自己満足の根性論だった気がします(笑)。
しかし、「紙の辞書」で勉強したからこそ身についたこともあります。以前、韓国語上級者の方で、電子辞書で学習を始め、紙の辞書をほとんど引いたことがない方と話をしていてびっくりしたのですが、その方はハングルの「ㄱ, ㄴ, ㄷ, ㄹ……」の順番をあまり知らなかったのです。電子辞書はこの並びを知らなくても単語が調べられますが、紙の辞書だとそうはいきません。そう、「あ、か、さ、た、な……」の順番を知らない、ということと同じですね。
紙の辞書はまず引きたい単語がどこにあるかを探すことから始めます。まず子音、そして母音の順番をたどりながら探しますが、その仮定は文字を身につける良いトレーニングになるでしょう。スペルを途中まで打てば画面に映し出される電子辞書は文句なしに便利ですが、ちょっとした不便さが自分を鍛えてくれる、ということはあると思います。
子音、母音の並びを知らなくても上級レベルになれるのなら、知らなくても良いことなのかもしれません。でも、もし韓国語が大好きで、韓国語教育に携わりたいと思っていたりする方は、韓国人ならとっさにそれが分かる「韓国語の‘国語としての常識’」ですから、知っているに超したことはないと思います。
また、「All About 中国語」ガイドの金子真生先生が記事「中国語辞書の選び方~紙辞書編~」で書かれているように、紙の辞書を引くことで、その周辺単語とその解説までが目に入るのは紙の辞書の良いところですね。
また、中国語講師、日中・中日通訳士の徳久圭先生の書かれた「辞書の使い方・選び方セミナー」というブログ記事も大変参考になりますので、ぜひご覧になってみてください。