ドラクエ風モーツァルトってなぁに?
このモーツァルト作曲の人気オペラ『魔笛』の演出を担当するのは、TVでも御馴染み宮本亜門さん。ブロードウェイでも評価された日本を代表する演出家の一人で、現在では、ミュージカルだけでなく、オペラ、歌舞伎など幅広く国内外で活躍されています。二期会とはこれまで5作品を作り出し、中でもモーツァルトは『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』を手掛け、高い評価を得てきました。そして『フィガロの結婚』の際、共に作品を作り上げた世界的指揮者のデニス・ラッセル・デイヴィスが亜門氏の深い洞察に満ちた演出に感銘を受け「また一緒にやらないか?」と声を掛け(!)実現することとなったというのがこの『魔笛』。
しかも今作は、劇場を一新させたオーストリア・リンツ州立劇場との共同制作。モーツァルトの交響曲にも名を残す作曲家と縁のある土地で、最も著名なオペラを日本人の亜門氏が演出する、ということでリンツ側の新しいことをしたい、という意図も伝わるし、亜門氏にとっても、とても名誉あること。
しかし、それは当然プレッシャーでもあり「日本人演出家として何をすべきか?」を熟考した結果、思いついたのがなんとドラゴンクエストに代表される「RPG(ロール・プレイング・ゲーム)」のアイデアだったという。
それにしても、言われてみて、はっとした。確かに『魔笛』は主人公の成長物語であり、戦闘シーンあり、キッチュなシーンありのポップな冒険活劇。確かにドラクエとそっくり。なんで今まで気付かなかったのだろう?と思うくらいだ。主人公タミーノは、パーティーを組んで、いざ、冒険の旅に出るのだ!
亜門氏は「魔笛は荒唐無稽な部分もありモーツァルトが大衆に向けて作った楽しい作品。ドキドキ感、ワクワク感を伝えたい」と言う。またリンツはメディア・アート、デジタル・アートにおけるヨーロッパの中心だそうで、映像も用いた演出になるそうです。
聞けば聞くほど楽しそうなドラクエ風『魔笛』。2013年秋にリンツで初演され、日本では2015年7月に上演予定。今から待ち遠しい!
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