定年・退職のお金/介護費用・介護にかかわる各種制度

親が要介護になった時、本当に必要なサポートとは?(2ページ目)

75歳以上になると要介護状態になる高齢者が急増します。介護にはお金がかかるといわれていますが、その費用は誰が負担し、どんなサポートが必要なのでしょうか。高齢者が考えていること望んでいることを知れば、現役世代の不安は軽減しそうです。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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60歳以上の貯蓄額は約2000万円 

世帯主の年齢階級別年収・純貯蓄高の表

世帯主の年齢階級別年収・純貯蓄高

総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成24年平均結果速報-(二人以上の世帯)」によると、年齢別の勤労者世帯の年収は、これから家族を形成する30~39歳が569万円、教育費や住宅ローンの負担にあえぐ40~49歳は717万円です。それに対し、これらの負担をほぼ卒業している60歳以上の世帯の年収623万円はゆとり度が高く、これからも介護費用を積み増していくことができる収入と思われます(右図参照)。

2人以上世帯のうち60歳・無職の世帯の年収は402万円で、純貯蓄高が2088万円もあります。これは、前出の「介護費用は年金収入で賄う」「準備している」を裏付ける数字です。

介護費用よりも、困ったときのサポートがほしい

高齢者が求めているものは、介護費用よりも「病気のときや、ひとりではできない日常生活に必要な作業の手伝いなど困ったときに手伝ってもらうなど頼ることができる」です。前出の内閣府の意識調査でも「頼ることができる人」(複数回答)に、
  • 同居の家族・親族  77.2%
  • 別居の家族・親族  38.5%
  • 近所の人     12.4%
と、圧倒的多数が家族や親族を挙げています。

高齢者は福祉サービスの情報をなかなか得られない

介護を上手く行うには、費用と福祉サービスがポイントになります。費用については、前出の内閣府の意識調査で20%もの高齢者が「不動産の活用(=自分で作った資産は自分のために使う)」を挙げています。

不動産を活用する手段には、(社)移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借上げ制度」、民間金融機関の「リバースモーゲージ」、住宅金融支援機構「高齢者返済特例制度」など様々な方法があります。

福祉サービスも、公的介護保険による介護サービスだけでなく自治体や社会福祉協議会の福祉サービス、民間の高齢者施設など多種多彩で、サービスの質や内容、費用等に大きな差があります。

不動産活用や福祉サービスの利用は、情報を集めて状況に合わせて詳細に検討し利用することで、本人はもとより家族にとっても費用や時間、精神的・肉体的負担がずっと軽くなります。ところが、当事者である高齢者は、これらに関する情報をほとんどもっていないといっても過言ではありません。デジタルデバイドの波を大きくかぶる親世代への一番のサポートは、お金よりも、子ども世代の自立と情報提供なのではないでしょうか。  


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