輸入車/注目の輸入車試乗レポート

これぞFRスポーツ、老舗の矜持が伝わるヴァンキッシュ(2ページ目)

老舗ブランドのフラッグシップが帰ってきた! グラマラスで美しいスタイルと妖艶でエレガントなインテリア。タイトベントから高速コーナーを思い通りに、長距離ドライブを優雅にこなす。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド


タイトベントから高速コーナー、長距離ドライブまで

アストンマーティンヴァンキッシュ

前後重量配分を50:50に近づけると共に車両重量の85%をホイールベース内に配した

アストンマーティンのフラッグシップカーといえば、先代のヴァンキッシュといい、また旧型に相当するDBSといい、乗り味に“大柄”感がつきものだった。DB9もそうだ。それゆえ筆者などは、同じV12を積むモデルのなかでも、V12ヴァンテージの“小柄な動き”に、ブリティッシュスポーツらしい味わいを求めがちだった。

新型ヴァンキッシュには、歓迎したい“小ささ”があると思う。

ボディビルダーのような大げさなものではなく、例えば野生動物の四肢のようなムダのなさで、みっちりとひき締まった強靭な筋肉のごとくパワートレインとボディ&シャシーを融合させ、その結果として力感溢れる美しきクーペスタイルを完成させたかのようである。

小ささは、速さのみならず、扱いやすさにも直結する。しかも、クルマの動く位置が低い。前アシのさばきは、実にシャープでありながら、手応えは素直で、コントローラブルだ。タイトベントから高速コーナーまで、安心してワークできる。いくつかのコーナーを抜けるうちに、V12のフロントエンジンカーであることを忘れてしまいそうになる。それだけ、前後上下の重量バランスも優れているということだろう。

掛け値なしの573psを、レスポンスよく路面に伝え、思いどおりにシャシーをコントロールできたときの、心地よさと言ったら! これぞ、FRスポーツカーの醍醐味というものだ。
アストンマーティンヴァンキッシュ

0-100km/h加速は4.1秒、最高速は295km/hとなる。20インチ軽量アロイホイールにブレンボ・カーボンセラミック・マトリックス(CCM)ブレーキシステムを採用

もちろん、グランドツーリングカーとして、長距離ドライブを優雅にこなすということも、得意科目のひとつである。フラットな乗り心地は、人によって“硬い”と感じるかも知れない。けれども、パッセンジャーに不快な振動を与えることはまずなく、20分もすれば、硬めの乗り心地など忘れてしまうことだろう。

そう、ナビシートに座っていても、たからかに響き渡るエグゾーストノートを聴いているうちに、心が昂ってゆくからだ。

セケンの声など気にしない。自分の好みを何かと比較したりしない、する必要がない。そんな強いオトナに似合いのハイエンドスポーツカーである。

“征服”しなければならないのは、自分自身の心=スポーツカー観なのだった。
アストンマーティンヴァンキッシュ

同ブランドのロードカーでは初のローンチコントロールシステムを採用。3種類(ノーマル/スポーツ/トラック)の減衰モードが設定できる新世代アダプティブ・ダンピング・システムも備わった


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