ベルギーの治安は安全そう!? データで見ると
最新のEU内の犯罪統計でみると、ベルギーは、デンマーク、ギリシャに次いで犯罪数が高いことになっていますが 、他の欧州諸国と比べた実感では、特に犯罪の多い国という印象はありません。経験豊富な日本人添乗員さんなどは、南欧諸国やフランス、オランダなどを巡ってベルギーに入ると、ほっと気を抜くことができると言います。それでも、ここは欧州。日本の安全さとは比べものになりません。たとえば、人口1000人あたりのスリの発生件数は、ベルギー3.63件で日本のおよそ100倍(日本0.04件) 。2012年日本人相手の犯罪報告数は208件 。隣の観光大国フランスの例年300~400件と比較しても、少ないとは言えません。(資料:欧州統計局EUROSTAT、在ベルギー日本大使館「安全対策セミナー資料」、在ベルギー日本国大使館ホームページ)
日本人相手の犯罪報告の8割以上は、スリ、置き引き、車上ねらいなどの盗難で、危害を加えられたり、命の危険にさらされたりすることはほとんどないのですが、それでも楽しい旅行を台無しにしないための危険察知力と自衛が必要でしょう。
危険なのはどこ?
ベルギーでは、危険な場所と時間がかなり限られているので、現地の人々の行動を良く観察して「君子危うきに近寄らず」。まず、危険なのは、ブリュッセル旧市街中心部。ブリュッセル全体の発生件数と比べ、スリでは3倍、車上ねらいでは2倍。イベントでにぎわう世界遺産のグランプラス、由緒正しい教会の中、ファーストフードで並んでいる間など、知らない人と肩が触れ合うような場面では細心の注意が必要です。
次に危ないのは主要駅周辺。日本と異なり、駅周辺は、低所得者層が多く住み、駅にシェルターを求めるホームレス風や旅行者をねらうプロの窃盗団が行きかっています。地元の人々も、公共交通機関を使うことは使いますが、通勤や通学、日中の買い物などが中心で、夜や休日は利用者が激減。旅行者は、利用者の少ない時間や曜日はできれば避けるのが賢明。高くついても、安全を重視して、TPOによってタクシーや、一等車の利用を。
駅・交通機関では
多くの国際特急列車のターミナル、ブリュッセル南駅
よくある手口は、地図を片手に道を尋ねるふりをし、親切な日本人旅行者が地図を覗き込もうと手荷物を置いた瞬間、その荷物を盗って走り去るというもの。上着に何かがついていると親切そうに近づいたり、抱いている赤ん坊を見せて物乞いしたりしながら、実はバッグや財布を抜き盗るのも常套手段。
日本と違って『改札口』というものがない欧州の駅では、だれでもホームや車両に入りこめます。ひと頃多かったのは、自らも乗客のふりをした犯人が、旅行荷物を持った観光客の後をつけて国際特急に乗り込み、網棚に荷物を置こうとしたすきに、座席に置かれた貴重品をそっと盗み、ドアが閉じる直前に電車を降りてしまうという手口。被害者は、列車が動き出してから気づくので後の祭り。あまりに多かったため、最近では、国際特急のすべての車両入口に係員が立って乗車券をチェックするようになったのですが(写真)、それにしても、小金持ちそうな日本人観光客はねらわれています。
この他、ブリュッセル北駅・中央駅でも、また、ブリュージュ、ゲント、アントワープでも、主要駅にはホームレスや窃盗団が必ずと言っていいほどいるので要注意。駅周辺には、SECURIRAILと書いた赤い上着の鉄道公安員、警官、警備会社の人間が、制服姿あるいは覆面で多数パトロールしているので、何か変だと感じたら、こうした人達の近くに行ったり、助けを求めたりするとよいでしょう。