東京を代表する高級マンション「六本木ヒルズレジデンス」
今春、「六本木ヒルズ」は10周年を迎えた。ミニバブル(2006~2008年)をはさみ、この間じつに数多くのハイグレードマンションが世に出たが、私の知る限りこれほど完成度の高いタワーは他に例を見ない。「六本木ヒルズレジデンス」は、まぎれもなく東京を代表する1棟である。「六本木ヒルズレジデンス」は、「六本木ヒルズ けやき坂」の南側に位置する住宅ゾーンの総称。A~D棟まで4棟で構成された総戸数792戸の大規模マンションである(サービスアパートメント含む)。なかでも超高層B、C棟がシンボリックな存在であろう。ともに43階建て、オレンジのテラコッタタイルとライムストーンで覆われた外観から放たれる独特の個性は、今もって色褪せていない。
ツインタワーの入り口は、世界の高級ブランドが軒を連ねる「けやき坂」に。まるでブティックに入るかのような設えのエントランスがユニークだ。自動ドアをくぐると、「ヒルズ」シリーズレジデンスの定番ともいえる特大サイズのル・コルビュジェの(額装された)ラグが出迎える。運営管理する森ビルの元会長、故森稔氏は有名なコルビュジェ収集家であったそうだ。
C棟 19階南西角、185.12平米 3Bedroom
今回取り上げるのはC棟19階 185.12平米(約56.00坪)3Bedroom。募集賃料は183万円(月額)。南西の角部屋である。下の間取りをご覧いただこう。タワーでは珍しく、P・P(プライベート・パブリック)分離がしっかりと効いたプランだ。玄関を入ると大きなスライディンドアを隔て、リビングが広がっている。足を踏み入れた瞬間から「視界の抜けが抜群」であることが図面からも伝わってくるようだ。パブリックゾーンのトイレの位置やキッチンへの動線にまず目が行った貴方は、相当な頻度でホームパーティを開いているのではないだろうか?風水に少しでも精通している方ならば、ひょっとしてこう思うかもしれない。「南西に窓付きシンク(水場)を置くなんて…」。まったくの迷信でもない。西日の当たる場所になま物を扱うスペースを持ってくることは望ましいとはいい難い。だが、「六本木ヒルズレジデンス」の棟群の位置関係が把握できていれば、それが杞憂であることに気付く。なぜなら、隣にはB棟があるから。直射日光はごく限られた時間帯で済むはずだ。さて、次のページではここでしか見ることのできない住空間の妙に焦点を当ててみよう。