【英国でミュージカルを観るための基礎知識】
 

劇場はどこにある?

"Mamma Mia!"を上演中のNovello Theatreundefined(C)Marino Matsushima

"Mamma Mia!"を上演中のNovello Theatre (C)Marino Matsushima

ロンドンではPiccadilly Circus(ピカデリー・サーカス)やLeicester Square(レスタースクエア)周辺エリアに、大きな劇場がひしめいています。そのほか、テムズ川南側のSouth Bank Centre(サウス・バンク・センター)や東部のBarbican Centre(バービカン・センター)でミュージカルが発信されることも。

また、客席数の少ない小劇場でも、例えばDonmar Warehouse(ドンマー・ウェハウス)などで意欲的なミュージカルが上演されることもあるので、ミュージカルが観られる劇場は数限りないと言えるでしょう。

地方都市の場合は、劇場の軒数は限られますが、それでもかなりの頻度でツアー版の大作ミュージカルがかかっています。記事末には筆者がロンドンの北西、コッツウォルズの優雅なスパタウン、チェルトナムで観たツアー版『High Society』(上流社会)のレポートを掲載していますので、参照下さい。
 

演目はどうやって探す?

簡単なのはインターネット検索。「都市名」+「musical(あるいはtheatre)」で検索してみてください。ロンドンの場合なら「London」「musical」。いろいろなサイトが出てくるので、順番にクリックし、自分が見やすい、また信頼できそうと思えるサイトで演目リストをご覧ください。多くは、そのサイトからチケットも購入できるようになっています。
 

演目の決め方

"Mamma Mia!"を上演中のNovello Theatreundefined(C)Marino Matsushima

”The Lion King"を上演中のLyceum Theatre (C)Marino Matsushima

ロンドンのように選択肢が多々あると、何がいいのか迷ってしまうかもしれません。英語のヒアリングに自信のある方、日本で上演されるミュージカルはほとんど観ている!という「上級者」の方なら、ぜひ「新作」と記載されている舞台をご覧になってはいかがでしょうか。

素晴らしい作品にいち早く出会えるかもしれませんし、たとえ失敗作だったとしても、評判が悪いと短期間で終わってしまう公演もあるので、「貴重な舞台を観た!」とお友達に自慢できるかも(?)。

いっぽう、英語には今一つ自信がない、あるいは時差ボケで公演の間、しっかり観られるかどうか……という方におすすめなのが、物語を既に知っている作品

中でも分かりやすいのは『ライオンキング』『アラジン』といったディズニー・ミュージカル、映画版を観ている方なら『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』。音楽メインで愉しみたい、という方には、アバのヒット曲満載の『マンマ・ミーア!』がおすすめです。

もしも家族連れでの旅行なら、ロンドン劇場協会のサイトが掲載している、ファミリー向けショーの一覧をチェックしてみてください。ファミリーで楽しめるミュージカルはもちろん、日本の「おかあさんといっしょコンサート」に似たノリの、BBCの子供向け番組ショーなども紹介されているので、一家で楽しい思い出が作れるかもしれません。http://www.officiallondontheatre.co.uk/family-theatre/shows/
 

どの席を選ぶ?

ロンドンのミュージカルは現在、Stallsと呼ばれる一階席が70ポンド(為替レートが150円として約10500円)前後、お安いUpper Circle(3階)席が20ポンド(同、約3000円)前後です。観る本数を絞って良い席で観るも良し、たくさん観るために3階席で倹約するのも良し。ただ、3階席は席の間隔が非常に狭く、日本人の体格でも窮屈な劇場もありますのでご注意ください。
 

購入方法

The Phantom Of The Operaを上演中のHer Majesty's Theatre (C)Marino Matsushima

"The Phantom Of The Opera"を上演中のHer Majesty's Theatre (C)Marino Matsushima

最近はほとんどのショーのチケットが、そのショーもしくは劇場単独のサイト、あるいは前述のミュージカルチケット販売会社のサイトから購入できます。サイトによってはディスカウト・チケットや食事、ホテルとのセット券を出しているところも。

この方法はクレジットカードがあれば、日本からでも購入できるのが魅力。ただ、インターネットショッピングにつきまとう「安全性」がどうしても気になる、あるいは販売会社が信頼できそうかどうか判断できない、という方もいらっしゃるかもしれません。

少しでも不安があるなら、対面販売が確実です。各劇場ではたいがい朝10時ごろからBox Office(窓口)が開き、座席表を見ながら購入することができます。中には当日のみのお安いシートを用意している劇場も。(各劇場のサイトでご確認ください)

また、レスタースクエア駅を降りてすぐの広場にある「TKTS」ブースでは、正価~半額程度の割引チケットを、手数料(割引チケットの場合3ポンド、正価の場合1ポンド)を加えた額で販売。以前は当日券のみの扱いでしたが、最近では数日先のチケットも扱うようになり、現金(ポンドのみ)でもクレジットカードでも購入できます。観劇しようと思い立ったら、ここに出かけてボードの「本日のチケット一覧」を眺めつつ、何を観ようか考えるのも楽しいでしょう。

TKTS日本語サイトhttp://www.tkts.co.uk/about-tkts/japanese/
 

何を着ていく?何を持っていく?

イギリスの劇場は外の気温とは関係なく(⁈)、暑かったり寒かったりします。ストールやカーディガンなど、調節用のアイテムをお持ちになるといいかもしれません。

また、日本の劇場では、開演前、あるいは幕間に持参したお弁当をロビーの椅子で食べる方も多いかと思いますが、イギリスの劇場ロビーには椅子はほとんどありませんし、お弁当を食べる人もほぼ、いません。そのかわり、英国の劇場では観劇前、あるいは幕間にバーで一杯飲みながらお喋りを楽しむのが伝統的です(幕間に売り子さんが販売するアイスクリームを座席で食べる方もいます)。お食事は観劇前あるいは終了後に外で……と心づもりしておきましょう。
 

劇場では

"Charlie And The Chocolate Factory"のブローシュア(左)とプログラム(右)(C)Marino Matsushima

"Charlie And The Chocolate Factory"のブローシュア(左)とプログラム(右)(C)Marino Matsushima

たいていの劇場では、客席扉付近にプログラム(ブロードウェイと異なり、有料)を持った会場係が待ち受け、列まで案内してくれます。

英国のショーでは、キャストのプロフィールが主な内容であるプログラム(3ポンド程度)と、舞台写真が主な大型のブローシュア(5ポンド程度)がありますが、プログラムのみの場合もあれば、両方を兼ねたブローシュアを販売する劇場もあります。

着席について。一階席でも、イギリスの劇場は意外に前列との間隔が狭いので、奥の席の方がいらしたらスムーズに通れるよう、立ち上がるのがマナーとされています。通路に近い席なら、開演直前までロビーで待機するのもいいかもしれません。逆に、自分が奥の席なら早めに着席しておくか、ぎりぎりの到着なら「Excuse me」「Thank you very much」等、一言掛けながら通していただきましょう。
 

休憩時の過ごし方

クラシカルな劇場が多い中、コンテンポラリーな劇場も。こちらはBirminghamのHippodrome。(C)Marino Matsushima

クラシカルな劇場が多い中、コンテンポラリーな劇場も。こちらはBirminghamのHippodrome。(C)Marino Matsushima

英国では観劇は社交の一手段とあって、お連れの方と劇場内のバーに行く人がほとんど。抵抗がなければ、とりあえずバーに出かけてみてはいかがでしょうか。ワイングラスを傾けながら、周囲の人々がどんな感想を言い合っているか、聞き耳を立ててみるのも楽しいものです。

客席でくつろいでいても、同好の士と見ると気さくに話しかけてくる英国人は少なくありません。英語が苦手でも、事前に少しボキャブラリーを思い起こしておけば「日本でもこの演目、観ました」「へえ、こっちのとは演出違うの?」などと、楽しいお喋りができることもあります。

ただ、英国の劇場は日本の劇場に勝るとも劣らずトイレが少ないので、ちょっとでも心配な方は、迷わずトイレに直行されることをおすすめします。
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いかがでしょうか。海外とはいえ、最低限の知識さえあれば、英国での観劇は意外に簡単。国が違っても、大勢の舞台愛好者とともにミュージカルを楽しむことができる喜びを、ぜひ、多くの方に味わっていただけたらと思います。

*次頁で『Jesus Christ Superstar』(2016年7月、Open Air Theatre)、『High Society』(2013年4月、Everyman Theatre)の観劇レポートを掲載。英国でのミュージカル鑑賞のご参考に、ぜひご覧ください!