地下水の増加で土塊がゆっくり移動する「地すべり」

地下水の増加で土塊がゆっくり移動する「地すべり」

2013年4月、静岡県浜松市の茶畑で大規模な「地すべり」が発生しました。

危険度が増した4月21日には、6世帯24名に避難勧告が出され、全員が避難所や親戚宅等に避難しました。その後23日に1回目の崩落があり、河川に崩落土砂が流入。河川がせき止められていることが確認されました。

その後、30日までに6回にわたる崩落が発生しましたが、川の流れは一部で回復しており、避難勧告も一部解除されました。このときは幸いにも、崩落による人的被害および家屋等の被害は発生していませんでしたが、浜松市はその後、調査や対策工事を進め、2015年に緊急の地すべり対策工事を完了。堆積土砂の流出防止工事も実施されるなど、対策が施されています。

また、2013年5月には、山形県最上郡で融雪等に伴い地すべりが発生。そまま放置すれば住宅が倒壊するおそれがあり、たくさんの方に人命に危害が及ぶ可能性が生じていたことから、山形県は災害救助法の適用を決定しました。

「地すべり」と「土砂崩れ」の違い

そもそも「地すべり」とは、どのような災害なのでしょうか。地すべりによる被害を取り除く、あるいは軽減・防止する目的で設けられた法律、「地すべり等防止法」では、地すべりが以下のように定義されています。

「『地すべり』とは、土地の一部が地下水等に起因してすべる現象、またはこれに伴って移動する現象をいう(第2条)。」

地すべりは、特定の地質または地質構造で多く発生します。一般に降雨や融雪に伴い、地下水が増えることが誘因となって発生するものが多いとされますが、地震で発生することもあります。また切土や盛土、トンネル掘削、ダム湛水などの人為的な誘因で発生することもあるようです。

同じような災害に「土砂崩れ」、「がけ崩れ」や「山崩れ」などがありますが、これは地質との関係はあまりなく、降雨の影響が誘因となって発生する災害とされています。また、土砂崩れやがけ崩れ、山崩れなどとは異なり、地すべりでは斜面の土の塊がとてもゆっくり動くのも特徴です。速度は1日数ミリから数センチ程度。そのため事前避難ができ、人的被害は生じにくいのですが、浜松市のケースのように継続して地すべりが起こることもあり、さらにいったん滑り出すと長い間、そうした状況が続いてしまうため、長期にわたり暮らしに影響が出ることもある災害です。

次のページでは、地すべりは火災保険の補償対象になるのかを解説します。