マネジメント/組織マネジメントとは

組織の7S~その6「スキル(Skill)」

組織を形づくる7Sにおける重要な武器となるのが「スキル(Skill)」です。単なる「製造技術」にとどまらない「スキル」の概要とその果たす役割を、シャープ、ソニー、トヨタの実例を取り上げて解説します。それぞれの企業の発展過程において有効に機能した「スキル」は、どのような特徴的な違いがあったのかを探ります。

大関 暁夫

大関 暁夫

組織マネジメント ガイド

東北大学卒。横浜銀行入行後、支店長として数多くの企業の組織活動のアドバイザリーを務めるとともに、本部勤務時代には経営企画部門、マーケティング部門を歴任し自社の組織運営にも腕をふるった。独立後は、企業コンサルタントの傍ら上場企業役員として企業運営に携わる。

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「スキル」=独自「技術」は、組織最大の武器である

解説

「スキル」は組織成長の源

組織を形作る要素「組織の7S」におけるソフトの「4S」で、比較的理解しやすいものが「スキル(Skill)」です。「スキル」とは普通に日本語にすれば「技術」ですが、これは単なるモノづくりにおける「技術」だけでなく、営業や管理における「技術」や「ノウハウ」も含めてその組織独自のものは「スキル」として位置づけられます。「スキル」は組織運営において他の7Sの要素に大きな影響を与える存在となり、重要な役割を果たしています。

実例をあげて、「スキル」が組織において果たす役割を見てみましょう。

「スキル」=「技術」の一番分かりやすい例としては、シャープがあげられるでしょう。戦後、松下電器、ソニーなどに同じ非財閥系家電メーカーとして台頭したものの、規模や知名度の点でこの両社から差をつけられたことで、ややニッチな製品群を特徴とした独自路線を歩んでいた同社。しかし、電卓開発で培った液晶技術に優れたものがあり、これを強みとして活かすことで、液晶PC、液晶テレビ伸展の時代に「液晶のシャープ」として一躍脚光を浴び家電メーカーの王道にたどりつくことになるのです。
解説

独自「スキル」は組織成長を支える武器



松下電器のプラズマに打ち勝ってシェアナンバー1を確立した「液晶のシャープ」は、日本製の品質を前面に押し出した液晶テレビ“亀山モデル”(シャープの主力テレビ工場が存在する三重県亀山市に由来)「AQUOS」で隆盛を極めます。その後、国際競争激化による液晶価格の暴落や地デジ実施以降の国内テレビ需要一服感などの影響で、経営面で深刻な危機に直面している状況にはありますが、現在なおスマートフォンの電力消費を抑える点が大きな注目を集めている省エネ液晶IGZOの開発により、液晶技術という独自の「スキル」を軸に復活を虎視眈々と狙っているところでもあるのです。
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