マネジメント/組織マネジメントとは

組織の7S~その6「スキル(Skill)」(2ページ目)

組織を形づくる7Sにおける重要な武器となるのが「スキル(Skill)」です。単なる「製造技術」にとどまらない「スキル」の概要とその果たす役割を、シャープ、ソニー、トヨタの実例を取り上げて解説します。それぞれの企業の発展過程において有効に機能した「スキル」は、どのような特徴的な違いがあったのかを探ります。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド


成長を支えたソニーの「小型化」、トヨタの「かんばん方式」

「スキル」が単なる単独の「技術」にとどまらず、組織風土にもつながるひと塊としての「技術文化」が組織をけん引しているケースもあります。ソニーなどはその好例でしょう。

ソニーは芝浦の町工場としてスタートしながら、その卓越した技術力、すなわち「スキル」によって世界から注目を集める企業となり、気がつくと一躍有名企業に成長しさらには世界にその名を知られる大企業となりました。その大きなきっかけとなったものが、創業初期におけるトランジスタ・ラジオの開発でしょう。それまで真空管等を使用して据え置き型があたり前だったラジオを、「小型化」という「スキル」により携帯持ち出し可能にすることで製品の常識を大きく覆したのです。

その後の成長期には若者のライフスタイルをも変えたカセット・ウォークマンの大ヒット、発展期にはハンディカム・ビデオやCDディスク・MDディスクの開発ならびにCD/MDウォークマンなどの画期的製品を続々展開。常に業界をリードし、節目、節目でソニーの名を高め世界的企業への成長を支えてきたものは、「小型化」という単独の「技術」にとどまることのない「技術文化」としての独自「スキル」であったのです。

組織運営のノウハウが組織の「スキル」となっているケースもあります。

その代表例はトヨタでしょう。トヨタは自動車生産の技術もさることながら、その独自の生産管理方法を「スキル」化させることで世界に冠たる大企業となりました。ムダを徹底排除し必要なものを、必要な量だけ、必要な時に補充する「ジャストインタイム生産」は、その象徴である補充時機を知らせる帳票から「かんばん方式」と呼ばれる一大「スキル」として確立され、トヨタの大発展を支えてきたのです。

このように組織の特徴として存在する「スキル」はその強みでもあり、組織を成長させる原動力になるのです。独自の「技術」としての「スキル」を作り上げることは、組織を発展させる上で大変重要な位置を占めていると言えるでしょう。
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