プロジェクションマッピングの歴史的背景
写真1.江戸古町まつり(2013年)で行われたプロジェクションマッピング
ところで、この「プロジェクションマッピング」とは一体どのようなことを言い、その歴史はいつごろ始まったものなのでしょうか。「プロジェクション」とは投影のことで、「マッピング」は投影対象の表層に映像と言う素材を貼り合わせることを言います。
つまりプロジェクターを用いて実像に映像を加えた新しい空間表現です。単に映像やCGを平面のスクリーンに映すのではなく、投影の対象が立体物であれば対象のもつパーツや凹凸(建物でいえば窓枠や扉など)と言った情報を利用しながら、全く異なる立体物を作り、それに動きを与えることも可能にします。
例えば、今年の札幌で行われた雪まつりでは、車の雪像に映像を貼り付けて、動かないはずの雪像の車があたかも走って見えるような見せ方をしていました。
プロジェクションマッピングは、おもにイベント空間に期間限定で活用されていますが、長崎のハウステンボスで見るように定常的に行われている例もあります。また、イベントのほかにコマーシャルやアート、教育などの用途にも活躍しています。
写真2.ウィーンのシュテファン大聖堂
プロジェクションマッピングの歴史はすでに10年以上も前からあり、特に舞台の世界では早くから導入されていたようです。では、何故今になって注目されたのでしょうか。それはプロジェクターの光束が上がってきたことが一つの理由と言えます。今までは一台が2000ルーメン(lm)ほどのものが一般的だったのが、今日では高輝度タイプとして7000ルーメンのものもあり、相当明るくなっています。
光束(ルーメン:lm)を面積(平方メートル)で割ると照度(ルクス:lx)になります。例えば100平方メートルの面に2000ルーメンの光が全て当たっているとすれば、単純に計算して、その面の平均照度は20ルクスになります。
仮に7000ルーメンの器種であれば、上記と同じ条件で、70ルクスが得られます。東京駅ビルの外壁照明は高輝度のプロジェクター40台以上が設置されていたようです。もう一つの理由は海外の素晴らしい事例がYouTubeなどで紹介されたことだと思います。
次の頁では、「住宅照明の教育・シミュレーションに応用」についてご紹介します。