悲観的になりがちですが
紹介してきた給与水準への影響。これはあくまで、理学療法士の給与水準に対して、シビアに考えた予測です。ここで、国税庁による平成15年から平成23年までのサラリーマン平均年収と理学療法士平均年収を比較してみます。全ての年度でサラリーマン平均より下じゃないか!?と、思うかもしれませんが、理学療法士は20代~30代が多く、比較的給与水準の高い50代の年齢層が少ないため、このような結果になります。上の世代が少なく、若い世代が多くなれば、当然、平均年収も低くなります。
注目すべき点として、平成20年にリーマンショックによる世界同時不況が発生しましたが、この時、理学療法士の年収に大きな下降は発生しておりません。こういった突発的な経済的影響には強いようです。ただし、長い目で見ると世間一般のサラリーマンと大きく変わらず、景気と連動していることをご理解いただけると思います。根本は他の仕事同様、景気の回復が与える影響は大きいと考えています。
やりがいと誇りを持ちつつ、研鑽し模索すること
患者さんの生活や人生を考え、研鑽し可能性を広げましょう
また、世間一般的にあまり知られていないですが、多くの理学療法士は、自分の担当の患者さんのために、休みの日を使い、勉強会や講習会で自己研鑽に励んでいます。全ては「患者さんにより良い人生を送ってほしい」という一念あってのものです。その気持ちなく、「国家資格だから世間の平均より給料はもらえる」とか、「医療職なんだから、給料が高くて当然」ということはあり得ないのです。
それらを踏まえ、私が考える今後の収入アップのポイントですが、現場での直接的な医学的リハビリテーションだけでなく、リハビリテーション概念を元にした福祉用具の取り扱いや介護保険施設の経営などで起業することで、一般的な理学療法士より所得が上がることは、実際の例からも十分可能と考えています。もしくは、持っている専門知識を活かして一般企業に務めることも選択肢として今後はありうるでしょう。
無論、病院や施設でのリハビリテーションを軽視しているのではありません。国の方針である社会保障費軽減を視点にすると、病院の中にこもった働き方ではなく、「国民がいかに健康で過ごせるのか?」「障害があっても生きがいをもてる生活環境をどう整えることができるのか?」こういった部分にもっと焦点を当てていくこともリハビリテーション職である理学療法士の仕事であると思っています。そこに収入アップのヒントがあるかもしれないということです。
いずれにしても、日々の研鑽があってこそ、新しいやりがいや収入面に変化を起こす機会が生まれてくるものです。収入だけにこだわって、大切なことを見失い、患者さんを悲しませることがないようにしたいものです。
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