大学には行かせてあげたいけれど……
奨学金の利用実態を見てみよう
高校を卒業して就職するという時代は終わり、今は、大学(短大含む)への進学率は56.2%、専門学校への進学率は16.8%(※1)と、合わせて4人に3人は進学している時代。ところが家計の年収は減る一方で、サラリーマンの平均年収はここ10数年で、467万円(平成9年)から409万円(平成23年)と13%も減少しています(※2)。こういった背景もあり、奨学金制度を利用する学生が、年々増えています。一体どのくらいの大学生が奨学金を利用しているのでしょうか。(※1)平成24年度「学生基本調査」/文部科学省より
(※2)平成23年分・平成9年分「民間給与実態統計調査」/国税庁より
[設置者別奨学金の希望および受給の状況(大学昼間部)]
国公立・私立に多少の差はありますが、おおよそどこの大学でも50%前後の学生が、日本学生支援機構奨学金などの奨学金制度を利用しています。
奨学金には、返さなくてよい「給付型」と返済の義務がある「貸与型」の2種類がありますが、奨学金を受給している大学生のおよそ9割が「貸与型」である日本学生支援機構奨学金を利用しています。
大学を卒業して社会に出る時に借金を背負う形になる奨学金、果たして全ての人がきちんと返済できているのでしょうか。
[平成23年度における奨学金回収率]
平成23年度のデータを見ると、きちんと期日を守って返されているお金は95.2%と、大多数の人はきちんと返しています。一方、一度返還が遅れてしまったものに対して返された金額は14.5%。この結果、期日を過ぎても返せていない人数は33万人、滞納金額は876億円にのぼっています。
学校を卒業して社会人になってから負うことになる返済義務は、その後の子どものライフプランへ大きな影響を与えます。就職できない、所得が低いなどの理由で返すことが困難になった際には、「奨学金返還期限猶予」や「減額返済」といった制度を利用することも可能ですので、延滞に陥らないよう、早めに機構に相談するのがよいでしょう。
>>次ページでは、奨学金を返済できないとどうなるかみていきます。