「制度」は「戦略」進行のための仕掛け
「ハードの3S」において、「戦略」「組織」に続く残りひとつは「制度(System)」です。
原語Systemを見ると我々はすぐIT的なシステムのことをイメージしがちですが、ここではそれをイコールで指し示すものではありません。もちろん広い意味ではそれも含みますが、ここでいうSystemは日本語訳に「制度」とあるように、規程とかルールや社内スキームなど、もっと具体的に言えば社内規程、決裁権限規程、会議規程、就業規則、人事制度、給与制度等々、組織を動かすためのあらゆる決めごとや仕組み・仕掛けを包含して指し示しています。
「戦略」が決まり、それを実現するための「組織」が組成させると、今度は皆が同じ考え方の下それを動かしていくための決めごとや仕組み・仕掛けが必要になります。それが「制度」です。
国をはじめとする行政で言うところの「法律」や「施行規則」にあたるものと言えば分りやすいでしょうか。
「制度」はそれ自体が目的になるものではなく、「組織」を目的に向けて動かすため道具として存在します。「組織」の皆が「制度」に従うことで「組織」は目的に向けて有効かつ効率的に動くようなものでなくてはならないのです。
「制度」は「戦略」を走らせる
例えば、97年にソニーが日本で初めて導入し、話題になった執行役員制度。
従来の取締役が、企業経営と業務執行を兼ねる日本的「制度(System)」を大きく変えるものとして、注目を集めました。
その背景には、一層の世界進出策を強化するという同社の「戦略」があり、その「戦略」の実現に向け不可欠と思われたグローバル・スタンダードの潮流に則ったコーポレート・ガバナンス(企業統治)の実現を求めて発案されたものでした。
同時に、経営と業務執行を分離することによる役員の活動スパンの業務執行への集中を通じた業務力・競争力の強化という「戦略」的観点も「制度」施行を後押ししました。