3歳位から5歳位までの幼児後期がエリクソンの分類では第3段階です!

幼児後期の発達課題は、それまで幼児の主な活動の場であった家を出て、外で同じ年頃の子どもたちの輪に入っていくこと。この課題をクリアーすることは、この時期特有のエディプス・コンプレックスを解決するためにも重要な関門です

人の心理社会的発達は、著名な発達心理学者であった米国人のエリク・エリクソンによれば、ライフサイクルの折々で発達課題をこなすことでなされますが、この発達課題をこなすということは心の健康にも大変重要な役割を持っています。

今回は、エリクソンが提唱した、人の心理社会的発達に関する有名な理論のなかの、「人はその人生のライフサイクルで、いかなる発達課題をこなすことになっているのか? また、そこで一旦、つまずくと、その後、どのような心の病気のリスクが高まるのか?」を前回、取り上げました幼児前期の次の段階である幼児後期を重点的に解説いたします。
 

幼児後期における心理社会的発達の意義

今回、取り上げます幼児後期は、時期的には3歳位から5歳位までで、エリクソンが提唱した、人の心理社会的発達における8つの発達段階のうち、第3段階になります。この時期に対応する2つの心理的側面は「積極性」と、それに対する「罪悪感」となっています。

幼児後期は幼児が幼児前期(生後18カ月位から3歳位まで)の発達課題であるトイレ訓練を終えて、幼稚園に上がり、同じ年頃の子供たちと遊び始める時期。この時期における幼児の最大の課題は、それまで幼児の生活の主な場であった家を出て、同じ年頃の子供たちの輪に入っていくこと。

この発達課題を無事クリアーした幼児は、この時期に対応する2つの心理的側面のうち、「積極性」を獲得し、以後の人生で積極性を発揮しやすくなります。しかし、もしも幼児がこの時期、子供たちの輪にうまく入っていけないような場合、この時期特有の、異性の親への憧れから生じるエディプス・コンプレックスが解決されにくく、以後の人生で、もう一方の心理的側面である「罪悪感」が強まる傾向があり、場合によっては、それが心の病気のルーツになってしまう可能性もあります。
 

幼児後期に関連する心の病気 

幼児後期である3歳位から5歳位までにルーツがある代表的な心の病気は、エリクソンの理論によれば、恐怖症、心身症、そして転換性障害などです。

恐怖症は、その名の通り、特定の何かを不合理なほど恐れてしまうことが特徴的な心の病気。恐れる対象は様々で、例えば雷などの自然現象、蛇やゴキブリといった生き物、さらには乗り物あるいは高い場所やエレベーターのような狭い空間といったように恐怖を覚える対象は非常に多岐に渡ります。恐怖症では、こうした対象への恐怖感が不合理なほど強まっているため、日常生活に様々な支障が生じやすくなります。

例えば、雷を怖がるあまり、家の窓から外の曇り空を見て、外出を控えるようになってしまっていたら、日常生活にかなりの不都合が生じてくるはず。エリクソンによれば、恐怖症のルーツは幼児後期にあり、幼児がこの時期、同じ年頃の子どもたちの輪に入っていくという発達課題につまずいたことと、幼児が親から叱られることを恐れる気持ちが、それからの人生で恐怖所のリスクを高めるとしています。

心身症や転換性障害は簡単にいえば、心の葛藤が身体的症状として現われてくる病気。心身症では例えば、大事な用事の前には決まってオナカをこわしてしまう……など、ストレス時に身体的不調が現れてくるほか、免疫力も低下して風邪をひきやすくなる、さらには、元々の持病である、例えば喘息などの症状が強まる傾向もあります。一方、転換性障害では心の葛藤のため、身体的問題は無いにも関わらず、一時的とはいえ突然、目が見えなくなる、あるいは、耳が聞こえなくなるなど、かつてはヒステリーと呼ばれていたような症状が特徴的です。

エリクソンによれば、これら2つの病気のルーツも幼児後期にあり、この時期の発達課題につまずくと、以後の人生で積極性を求められる場面で、それをうまく発揮できず、その時、心に強まってくる罪悪感などの葛藤がこうした身体的症状を生み出すとしています。
 

幼児後期の子育てへのヒント

最後に今回、詳しく解説いたしました、人の心理社会的発達の、第3段階の内容を元に幼児後期の育児のヒントをまとめてみます。

まず、この時期に幼児を持つ親御さんは、幼児後期の発達課題は、いったい何であるかを是非、頭に置いて頂きたいもの。幼児が、それまでの生活の主な場であった家を出て、外で同じ年頃の子どもたちの輪に入っていくということは、以後の人生で積極性を発揮していくうえで、とうしてもクリアーしたい関門。

親御さんは幼児がこの発達課題をうまくこなせるように積極的に力を貸してあげたいもの。例えば誕生日会を盛大に開いてあげる、あるいは親戚同士で定期的に集まってみるなど、多くの方が既に実践されていることだとは思いますが、同じ年頃の子どもたちが集う機会は是非、積極的に作ってあげてみてください。

また、幼児が同性の親に対して小さな子供ながらライバル意識を抱きやすく、それを叱られることを内心、恐れていることも理解してあげましょう。幼児の、この時期特有の、こうした心の葛藤を解決するためにも、同じ年頃の子供たちの輪に積極的に入っていくことで、人間関係をそれまでの主体だった家での親子関係から、家の外へ広げて行くことが望ましいのです。

最後に、幼児を育児中の方も、そうでない方も、ご自分が幼稚園の頃の記憶は、あまり無いものだと思いますが、もしかしたら、小さい頃、外で迷子になって、怖い思いをしたなんてことは大人になっても覚えているもの。実際、子供の頃の怖い体験はトラウマになりやすいことは親御さんは是非、お気を付けください。また、もしも大人になった現在、積極的に人の輪に入っていけないなど、自らの消極性にお悩みの方は、カウンセリングルームなどでカウンセリングを受けてみるのも、現状を打開するオプションの一つとなることは是非、ご考慮ください。
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