生まれた日思い出せ!誰もがBeginner!
AKB48の曲の中で私が特に好きでお勧めなのは「RIVER」と「Beginner」です。RIVERは既に他の方がすばらしい回答をされているので、私は今回Beginnerを推してみようと思います。根拠はなくていいんだ
現代において人の生き方や価値観は昔と比べ驚くほど変化に富むものになった気がします。これは主にインターネットが普及したことなどによる情報量の増加、科学や技術の進歩によって、ライフスタイルが多様化したことによるものです。その一方で政治や経済の旧来の枠組みは制度疲労を起こし上手く機能しない状態が長く続いています。その結果ある種の貧困化が進んで人々の生活レベルは経済的にも精神的にもむしろ低下してしまった部分も大きくなりました。現代は正に何を支えにしどう生きるべきか一人一人が自ら考え行動しなくてはいけない時代に入ったように思う時があります。
Beginnerの歌詞の深部に込められたメッセージ(もっともこの曲はメッセージを押し付けがましく訴えるものではなく、自分で自分を鼓舞する静かな祈りのようなものですが) はこの様な時代、いつだってゼロからでいいんだ、人の書いた地図を広げるのではなく自分で考えること、大切なのはたとえ根拠がなくても自分を強く信じること、そして可能性にかけ夢を持って物事に取り組むこと、である様に思えてなりません。
AKBが歌うことに意味がある曲
この曲の魅力として1番に挙がるのは曲のかっこよさです。大胆で複雑でちょっと変わっている様々な変調がサビ全般に渡り多用され聴く者に不思議な心地良さを感じさせます。作曲は井上ヨシマサ氏。この変調の妙で頭角を現し現在最も人気・実力を兼ね備える作曲家のお一人です。無名に近かった頃秋元康氏に見出されAKBのグループ創設時から楽曲の作曲・編曲の一翼を担っています。秋元氏のこの様な慧眼・先見の明をお持ちの点には感服します。
この曲が大ヒットした理由は曲や振り付けの美しさ、歌詞のメッセージが時代の空気感を掴んだことに加え、小さな一劇場からスタートし歌もダンスも素人同然だった少女達が、大きな夢を持って度重なる困難を乗り越えながら実力を育み、国民的アイドルへ上り詰めるそのプロセスが歌詞の内容と見事にリンクし素晴らしい説得力を生んだことで聴く者の心に届くからの様に思えます。