着物・着付け/着物の着方(応用編)

単衣はいつから着る? 着物の新ルール(2ページ目)

着物の単衣を着る時期について、新しい提案です。昔、単衣は6月や9月に着るものでしたが、4~5月でも気温が20℃を超える日もあります。「ルールを守っていると暑くて着物のお出かけを楽しめない……でもルールを破るのは怖い」。そんな方に月別のコーデや指摘されたときのひと言まで、ちょっとしたアドバイスです。

斉藤 房江

執筆者:斉藤 房江

着物・着付けガイド


春先に単衣を着る人が増えているとは言え、4月にあまりにも涼やかな素材や色の小物を合わせると、ちょっと浮いてしまいかねません。そこで、4月、5月、6月それぞれの月にオススメの小物合わせをご紹介いたします。
 

4月の単衣コーディネート例

着物はグレー地に白い絣で大小の円が織り出された紬の単衣です。紬ですので、普段着となります。単衣と分かる様に袖の振りをこちらに向けて撮影しています。
 
4月のコーディネート例

4月のコーディネート例

帯: 更紗のパッチワークの名古屋帯
半衿: 様々な模様が市松取りに浮き織りで表された白衿
帯揚げ: 黄緑色とベージュグレーで暈し染めされた縮緬地
帯締め: 白に近いグレーの丸組

4月はいくら気温が高いとはいえ春を代表する月ですので、春らしい色合いの小物を合わせると周りとは浮かないでしょう。半衿は塩瀬の衿よりも地紋のある、こういった浮き織りのものの方が凹凸がある分、肌に触れる面積も少ないので汗でベトつかず首回りも快適です。

また、日が落ちるとまだまだ寒い季節です。洋服用でも結構ですので春もののストールやショールを羽織ると良いでしょう。
 

5月の単衣コーディネート例

5月のコーディネート例

5月のコーディネート例

帯: 更紗のパッチワークの名古屋帯※4月の帯を逆巻きで締めたもの
半衿: 緑色で暈し染めされた大きなシボのふくれおり地
帯揚げ: 鮮やかな青色の縮緬地
帯締め: 片身替わりの変わり組

5月は初夏の爽やかさを感じる事が日々増えてゆく月。新緑や五月晴れを思わせるような差し色も素敵です。半衿は大きめのシボで凹凸があり4月と同じ理由でおススメです。また、5月も日中と夜の気温差がありますので、薄手のストールなどが役立ちます。
 

6月の単衣コーディネート例

6月のコーディネート例

6月のコーディネート例

帯: 生成りと藍で格子が織り出された趣味性の高い八寸帯
半衿: 撫子の地紋が織り出された揚柳
帯揚げ: 軽みのある紬の風合いを持つ青と緑の染め分け
帯締め: ベネチアングラスの組み出し紐

6月はいよいよ単衣の本番。昔から単衣に合わせていた揚柳の半衿は縦シボが特徴です。やはり凹凸がある事で肌触りが良く快適です。

梅雨に入り湿度も上がり雨も多いこの月は「麻」の夏物を着るという方も...こちらも今回の内容と同じ理由でその日の天候や体調に合わせての選択です。
 

「単衣を着る時期が早い」と指摘されたら?

もし他の人から「まだ単衣の季節じゃないわよ」と言われたら恥ずかしいと思っている方へアドバイスです。そんなときは「知っているんですけど今日は暑くて……単衣にしちゃいました」と言えば良いと思います。

その方も意地悪で指摘したのではなく、「知らないなら教えてあげなくちゃ!」という思いからでしょうから、「教えていただいてありがとうございます」という感謝を伝えれば尚良いでしょう。

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