妊娠・出産に関する診療は健康保険の適用外ですが、合併症の場合は適用されます。そのため、合併症で一定以上の医療費がかかった場合には、高額療養費制度の対象にもなることを知っておきましょう。
妊娠中

高額療養費制度を知っておきましょう

 

高額療養費制度ってどんなもの?

公的医療保険制度では、通常はかかった医療費の3割を負担する形で診療を受けることができます。3割負担でも高額になることもありますが、そんなときの負担軽減のためにあるのが「高額療養費制度」です。1ヵ月間の医療費の自己負担額が一定以上に高額になると、払い戻しを受けられる制度です。

妊娠・出産はそもそも健康保険の適用外なのですが、合併症や異常分娩となると保険の対象になります。健康保険が適用される分に関しては、所定の「自己負担限度額」を超える負担になったときには、この高額療養費の払い戻しを受けることができます。
 

いくら戻るの?

高額療養費として戻ってくるのは、産院の窓口などで支払った医療費のうち「自己負担限度額」を超えた分です。自己限度額は下記の通りです(厚生労働省保険局資料より)。

■高額療養費制度の自己負担限度額
(70歳未満の場合、2018年11月20日現在)
・年収約1160万円~: 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
・年収約770万~   : 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
・年収約370万~   : 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
・~年収約370万円  : 57,600円
・住民税非課税の人  : 35,400円 


<多数回該当の場合>
 過去12ヵ月以内に3回以上、高額療養費の払い戻しを受けたときは、4回目からは上限額が変わります。上記では上から順に、140,100円、93,000円、44,400円、44,400円、2万4600円になります。

【例】Aさん
年収が500万円で、医療費が月100万円(自己負担は3割の30万円)かかった。
自己負担限度額 : 80,100円+(100万円-267,000円)×1%=8万7430円
⇒30万円を病院に支払った場合は21万2570円が戻ります。つまり、Aさんの負担は8万7430円で済みます。
 

事前申請で払戻し分の病院窓口精算も

入院だけではなく外来でもそうですが、もしも1ヵ月の自己負担額が高額療養費制度を超えることが見込まれる場合は、あらかじめ申請して「限度額適用認定証」を受け取っておきましょう。これを医療機関の窓口へ提示すれば、窓口での支払いが自己負担限度額までで済みます。

正常な妊娠・分娩でかかる分は前述の通り健康保険の適用外ですので、高額療養費の対象になるのは、それ以外の健康保険の対象になる部分に関してのみです。例えば切迫流産や切迫早産で入院した場合や、帝王切開で出産した場合などで、1ヵ月の医療費負担が一定以上高額になったときには高額療養費の対象になります。

なお、健康保険が適用になる入院・治療と、適用外の入院・治療をミックスして受けられることを「混合診療」といいますが、妊娠・出産ではこの混合診療が認められています。
 

事後手続きの場合は?

事前に「認定証」をもらわずに支払った場合や、複数の医療機関で診察を受けたり、「世帯合算」の対象になる場合などは、高額療養費の申請が必要です。

国民健康保険では市区町村から申請書が送られてきたり、健康保険組合では申請をしなくても健康保険組合が計算して自動的に払い戻ししてくれる場合もあります。それらに該当しない場合は、市区町村役場や健康保険組合などへ申請しましょう。申請をすると、2~3ヵ月後には指定した口座に差額が振込まれます。
 

医療費控除との関係は?

1年間(1月1日から12月31日)に家族全員で支払った医療費の合計が10万円(所得が200万円以下なら所得の5%)を超えると、確定申告をすることで税金が還付され、これを医療費控除といいます。

ただし、「かかった医療費」には高額療養費で戻る分は含まれません。出産育児一時金や生命保険・損害保険からの入院給付金や手術給付金も差引くことになりますが、家族全員の医療費をまとめることは可能です。

この「かかった医療費」から10万円(所得が200万円以下なら所得の5%)を引いた残りが医療費控除額で、戻るのはこれに所得税率をかけた分です。なお、翌年度の住民税にも影響があります。

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