今、世界で男性美容のトップを走り続けるブランドが、さらに若い世代をも視野に入れたということは、大きな変化といってもよいでしょう。そこで開発を担当しているシャンダ・スワックハマー女史にもお話を伺いました。
藤村: スワックハマーさん、貴女はラボ シリーズの開発のバイスプレジデントを務めていますね。先ほどソーヤー氏にも伺ったのですが、アジアと欧米の男性の美容に対する意識の違いについて、どう感じていますか?
スワックハマー(以下敬称略):私もアジアの人たちの方が関心が高いと思いますよ。一般的な北米の男性はコスメを人から借りるくらいでマシな方だと思いますね。関心度の高さは個人的見解ですが、韓国→日本→他のアジア地域→ヨーロッパ→北米といった感じでしょうか
藤村:ソーヤー氏と同じ見解なのがおもしろいですね。女性の目から見てもやはりそうですか?
スワックハマー : アメリカでも都市部の人たち、例えばNYCやLA、シカゴ、マイアミなどの人たちと郊外では意識が違うんです。これは日本でも同じでしょうけど、同じ国の中でも男性の意識はまったく異なるんです。東部と西部でも違います。メディアなどの情報に触れる機会の違いなども関係していると思いますよ。
藤村:日本も保守的な地域では、未だにマッチョな男性像が求められていて「男がケアなんて……」ということも多いです。私も個人的にですが、アメリカもテキサス等南部では風当たりが強いイメージがあります。その点、都市に住んでいる男性はケアに対するハードルが低いかも。
英国式のアフタヌーンティーのフィンガーフードに続いて、デザートプレートもサーブされた
藤村:なんという偶然(笑)! さすが都市生活者ですね。さて、そんな状況の中で、一般的な男性が最低限しているケアというのは何でしょう?
スワックハマー :西洋ではケアというとまずはデオドラント。フレグランスを使う文化もありますので、香りに対するケアには敏感です。
不思議なのですが、北米ではジェルスティックの人気が高いんですけど、南米に行くとスプレーが多く見られますね。ヨーロッパやアジアではローラーボールが人気のようです。
アジアの美容意識の高さを改めて実感
ソーヤー氏もスワックハマー女史も、アジア男性の美容意識の高さを指摘していました。実は気づいていないだけで、総じて日本の男性の意識は世界の中では高いのかもしれません。ただし、2人とも指摘していたのは、ソフィスティケーティッドされた一部の男性の話。その比率が欧米に比べて多い、ということだと思います。歴史や人種など複雑な背景を持つ国々よりも、日本はある程度、均質化された社会。そんな中で、都会で暮らすソフィスティケーティッドされた男性の割合が多くなるのは当然のことかもしれません。
今回の取材の中で「ケアすることは成功への近道」とソーヤー氏が言ったことが忘れられません。このようにケアに社会的な意義を見いだせる、そんな男性が増えていって欲しいものです。
次のページでは、新展開を見せるアラミスの新製品「ラボ シリーズ プロ LS フェース トリートメント」を詳しく紹介しましょう。