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切っても切れない、家族の仕切り方?(2ページ目)

家族との関係は難しいもの。仕切りすぎても断絶するし、オープンすぎるとストレスがたまる結果に。パーティションの感覚で、家族の仕切り方を考えましょう。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

切っても切れない関係だからこそ

ギャラリー収納御堂筋
ギャラリー収納御堂筋(大阪)。寝室をパーティション収納で仕切ったプランが、いち早く取り入れられているのに注目しました

夫婦といえば、切っても切れない関係。だからこそ、その仕切り方にも微妙なものがあります。家をプランするときも、当然のように寝室は夫婦一緒です。実は住宅プランの中でも、夫婦関係についての考察は遅れているのです。

夫婦関係が悪化する原因のひとつは、自宅内でのプライバシーの欠如にあるのかもしれません。子供のプライバシーが子供部屋で確保されていても、夫がプライバシーを保てる場所はトイレとお風呂だけというお宅も多いでしょう。その中で、寝室のありかたはとても重要なテーマです。

寝室を仕切るという発想は、どうしても別居とか、離婚というイメージを誘いがちです。しかし血縁ではないもの同士が、同じ屋根の下に暮らすための距離のおき方があり、それはとても発展的なことだという価値観もあるはずです。

寝室を整理してみると

夫婦の寝室のスタイルは、主に以下の3種類に分類できます。
1・夫婦同一寝室・同一のベッド(ダブルベッドなど)
2・夫婦同一寝室・別々のベッド(セミダブルベッド2台など)
3・夫婦別寝室・子育て期
4・夫婦別寝室・熟年期

現状で一番多いのは、2番目の夫婦同一寝室で2台のベッドを利用するケースでしょう。これは和室で布団を2組並べて寝ることの延長線上だと思われます。3、4番目は別寝室とはいえ全く性格が違います。

子育て期の別寝室は、母親と子供が一種の共同生活に入るためですが、4番目の熟年世代の別寝室は、子供が独立して空き部屋が増えるため、それを利用して寝室にするケースです。年齢が高くなるにつれ、別寝室を選ぶケースが増えていきます。

ホームワークのストレスを開放するために

それ以外のプランとして、いま注目されているのが、夫婦別寝室と同一寝室の中間的なプランです。寝室の中にメインのベッドを置き、その他に簡易ベッドを置きます。メインのベッドと簡易ベッドは、パーティション収納で仕切ります。

パーティションをテーブルや収納に利用すれば、帰宅後のホームワークをここでこなせます。疲れたら簡易ベッドで仮眠します。別寝室という形ではありませんが、夜中に妻を起こす心配もなく、マイペースで過ごせます。

インターネット環境が整うなか、会社勤めをしていても、ホームワークにかかる時間は格段に増えています。就寝時間のズレが、夫婦間のストレスを増加させる要因になっています。これを解決する手段のひとつです。

家に帰る楽しみを

バーコーナー
狭いけれど、意地のバーコーナー。こうした工夫がとても大切です
休日にごろごろしたいときも、リビングのソファではなく簡易ベッドでいつでも休めます。自宅でストレスを解消できることが、夫婦円満の第一歩といえるのではないでしょうか。

その他にも、バーカウンターやホビーコーナーなど、極小のスペースを有効利用して、自分なりのスペースを作りだすことが出来ます。これが間取りを考える楽しみなのです。

自分なりのプライバシー空間を創造することで、家に帰る楽しみが生れ、結果として家族円満にもつながります。オープン空間だけが、明るい家族を実現するとは限らないのではないでしょうか。

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