切っても切れない関係だからこそ
ギャラリー収納御堂筋(大阪)。寝室をパーティション収納で仕切ったプランが、いち早く取り入れられているのに注目しました |
夫婦といえば、切っても切れない関係。だからこそ、その仕切り方にも微妙なものがあります。家をプランするときも、当然のように寝室は夫婦一緒です。実は住宅プランの中でも、夫婦関係についての考察は遅れているのです。
夫婦関係が悪化する原因のひとつは、自宅内でのプライバシーの欠如にあるのかもしれません。子供のプライバシーが子供部屋で確保されていても、夫がプライバシーを保てる場所はトイレとお風呂だけというお宅も多いでしょう。その中で、寝室のありかたはとても重要なテーマです。
寝室を仕切るという発想は、どうしても別居とか、離婚というイメージを誘いがちです。しかし血縁ではないもの同士が、同じ屋根の下に暮らすための距離のおき方があり、それはとても発展的なことだという価値観もあるはずです。
寝室を整理してみると
夫婦の寝室のスタイルは、主に以下の3種類に分類できます。1・夫婦同一寝室・同一のベッド(ダブルベッドなど)
2・夫婦同一寝室・別々のベッド(セミダブルベッド2台など)
3・夫婦別寝室・子育て期
4・夫婦別寝室・熟年期
現状で一番多いのは、2番目の夫婦同一寝室で2台のベッドを利用するケースでしょう。これは和室で布団を2組並べて寝ることの延長線上だと思われます。3、4番目は別寝室とはいえ全く性格が違います。
子育て期の別寝室は、母親と子供が一種の共同生活に入るためですが、4番目の熟年世代の別寝室は、子供が独立して空き部屋が増えるため、それを利用して寝室にするケースです。年齢が高くなるにつれ、別寝室を選ぶケースが増えていきます。
ホームワークのストレスを開放するために
それ以外のプランとして、いま注目されているのが、夫婦別寝室と同一寝室の中間的なプランです。寝室の中にメインのベッドを置き、その他に簡易ベッドを置きます。メインのベッドと簡易ベッドは、パーティション収納で仕切ります。パーティションをテーブルや収納に利用すれば、帰宅後のホームワークをここでこなせます。疲れたら簡易ベッドで仮眠します。別寝室という形ではありませんが、夜中に妻を起こす心配もなく、マイペースで過ごせます。
インターネット環境が整うなか、会社勤めをしていても、ホームワークにかかる時間は格段に増えています。就寝時間のズレが、夫婦間のストレスを増加させる要因になっています。これを解決する手段のひとつです。
家に帰る楽しみを
狭いけれど、意地のバーコーナー。こうした工夫がとても大切です |
その他にも、バーカウンターやホビーコーナーなど、極小のスペースを有効利用して、自分なりのスペースを作りだすことが出来ます。これが間取りを考える楽しみなのです。
自分なりのプライバシー空間を創造することで、家に帰る楽しみが生れ、結果として家族円満にもつながります。オープン空間だけが、明るい家族を実現するとは限らないのではないでしょうか。
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