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切っても切れない、家族の仕切り方?

家族との関係は難しいもの。仕切りすぎても断絶するし、オープンすぎるとストレスがたまる結果に。パーティションの感覚で、家族の仕切り方を考えましょう。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

家族関係を仕切ることの大切さ

リビング
リビング収納に子供のためのスペースを作ったプラン。リビングを子供の居場所にしつつ、自立心も育てる。写真提供ギャラリー収納(以下全て)

住宅の間取りがオープンになるにつれて、仕切ることの大切さが見直されはじめています。大切なのは家族同士の距離感です。一人になる時間と家族団欒の時間、その違いをきっちりと分けられることが大切です。

例えば子供との関係。いつまでもリビング・ダイニングにいては自立心が育ちませんし、かといって子供部屋に閉じこもってしまうと困ります。離れたり、くっついたりのバランスが大切です。

夫婦の関係はどうでしょう。いつでも一緒の寝室に不満はないでしょうか。時には離れることが、円満な関係を保つこともあるのではないでしょうか? 寝室を別々にするには勇気がいりますが、思いきって2人で考えるだけでも新しい関係が生れそうです。

そろそろ子供部屋へ。でもその前に

サイドテーブル
リビングの子供机にサイドテーブルを付けた例。母親が勉強をみたり、家事したり、子供との交流が生れそうです
仕切りの考え方には2つあり、ひとつは壁で仕切る考え方、もうひとつは空間として仕切る考え方です。例えばどんなにオープンなリビングでも、テレビが置いてある場所には、自然と家族が集り団欒の場所になります。これが空間として仕切る考え方なのです。

子供部屋をどう仕切るか。間取りを考える上でも、最も難しい問題です。いま注目されているプランのひとつが、子供部屋のふたつの機能「寝ること」と「勉強すること」を分けて考えることです。

子供部屋は最小限の寝るためのスペースと考えて、わざと狭くします。テレビや机のない、ほぼベッドと着替えだけの空間です。一方でリビングには、勉強のためのスペースを作ります。壁で仕切るのではなく、デスクを置いた空間を作ることがポイントです。

勉強の場所だからこそ、きっちりと作り込む

オープンキッチンが普及しはじめた頃、ダイニングを勉強机として使うことが流行しました。お母さんの目が届きやすいですし、見られているだけに子供も集中します。

もちろんこの方法でもいいのですが、中学や高校になると難しくなってきます。第2のステップとして考えられるのが、リビングの勉強スペースなのです。このスペースをプランする時に大切なのが、きちんとデザインされた場所にすることです。

人間は年齢を問わず、心地のよい場所に集ります。勉強スペースを家の中でもとびきりの空間にすることで子供部屋への引き籠もりを防ぐことが出来ます。引き籠もりの大きな原因は、テレビやパソコン、ベッドが揃った快適な空間にあるともいえます。

子供がいない時は、親も利用できる

素敵な場所を作ってあげると、子供は自然と居着きます。さらに大切なのは、充分な量のある収納です。リビングの一部となった子供スペースは、散らかってはいけません。しかし整理整頓にも限界があります。

最も現実的なのは、必要な時にすぐに隠すことです。普段は散らかしていても、家族が揃ったり、お客様がいらしたり、「かたづけなさい」のひと言ですぐに整頓できる「ものの避難場所」を確保することが大切です。こうした習慣を繰り返すことで、かたづけの意識が自然と養われていきます。

こうした勉強スペースは、子供が学校に行っている最中に、お母さんの家事コーナーとして利用することもできます。きちんとしたスペースを作ることは、結局は空間を有効利用することにつながります。

次のページで、夫婦の仕切り方(?)を紹介します。
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