なぜ人は、コンビニで買ってしまうのか

プラン
コンビニのプランは、赤い線にそって進むようにプランされています。この計算された間取りには、住宅に応用できるアイデアが詰まっています。資料提供:ケノス

飲み物を買うだけと思っていたのに、ついつい色々買ってしまう。こんな経験はよくあります。コンビニのドリンク売場が奥の方にある訳は、お分かりのように沢山の商品を見てもらうためです。たくみなコンビニのプランには、住宅の間取りにも応用できるアイデアがたくさんあります。

コンビニのデザインにも、一流の建築デザイナーが参加しているのをご存じでしょうか。大手コンビニエンスストアのデザインを手掛けてきた、ケノス・小林清泰さんにお話をうかがいました。

コンビニの売場には、計算された動線があります。出入り口から入ると、左手にはレジ、正面にはお弁当やサンドイッチ、おにぎりなどの冷蔵ケースがあります(ここでは最も典型的なコンビニの例を紹介しています。店舗によってプランは変わります)。

人の行動をたくみにコントロール

ポートレイト
ケノス代表小林清泰さん。数々のコンビニやショッピングセンターをデザインされています。きっとどこかでその空間に触れているはず
コンビニの利用が集中する昼時や夕食時。特にお腹が空いたお昼時は、多くの人がお弁当のケースに直行します。その隣には、美味しそうなデザートやサラダなどの副食が陳列されていて、ついつい手が伸びてしまいます。

次にあるのがドリンクの冷蔵ケースです。お弁当を買ったら当然ドリンクも欲しくなります。ちなみにガラス扉のついた冷蔵ケースをリーチインといい、裏側からドリンクを補充できます。さてドリンクを手に取ると、雑誌類を並べたコーナーが見えます。昼食後の楽しみとして、雑誌を手にとってもらう仕組みです。

最後はレジにゴールイン。レジの近くには出入り口があり、すぐ外に出られます。このようにコンビニをぐるりと一周することで、あちこち探さなくてもお昼の調達が出来るようにプランされています。ここで注目したいのは、商品が陳列されている順番です。

欲しいものから満たしていく

お腹を空かした人の心理状況を考えると、まずは空腹を満たす物(主食)が必要です。次にデザートなどの副食、そしてドリンク、その上に娯楽(雑誌類)という、必要性の高いものの順に並んでいます。この配列こそがコンビニ最大のポイントです。

人は自然とこの順路に誘導され、混雑時の流れがスムーズになります。昼時を過ぎると、雑誌コーナーからドリンクへと、先ほどとは逆回転の流れも出てきます。そのため壁際の通路は、人が往来できる幅がとられています。

では、中央の陳列棚(中島と呼ばれています)はどうでしょう。ここには文房具や日用雑貨などが置かれています。実は中島の売上げは、壁際の棚に比べると圧倒的に少ないのですが、コンビニの役割を果たすためには、ここも重要な棚です。

中央の棚には独自の工夫があり、アピールしたい商品は目線に近い所に置かれています。通路が狭いため、足下の方は見にくいからです。下の方には乾電池やストッキングなど、明確な目的をもって購入されるものが置かれます。

次のページで、コンビニのノウハウを住宅に活かす工夫を紹介します。