チェコのクリスマスの食卓を彩るコイ料理
チェコでは古くからコイが、新年を迎える時期の縁起ものとされています。コイの寿命の長さが長寿と健康のシンボルとして尊ばれているのです。クリスマスの時期にはいたる所でコイの姿を目にします。チェコにコイ料理が広まるきっかけを作ったのは、ドイツ人貴族のローゼンベルクによると言われています。13世紀に南ボヘミア地方のトレボンに住み着いたローゼンベルクが、もともとの沼地に池を作り、コイの養殖を始めたのが起源とされています。海に面していないチェコで、淡水魚の養殖の9割が、コイの養殖です。
クリスマスには、コイのスープから始まり、メインディッシュとしてコイのフライや焼き物、そしてデザートにコイの型で作ったパウンドケーキと、コイづくしとなります。クリスマスツリーには、コイを模った飾りをつけたり、コイの鱗を財布に偲ばせて金運を祈ったりします。日本でも豪邸の庭の池には立派なコイが泳いでいますが、よもや食材にするためではないでしょう。
チェコではコイ料理が、クリスマス時期の限定メニューとなっていますが、レストランによっては一年のメニューにしているところもあります。そんなレストランが見つかれば、チェコならではの味覚に接したいものです。
フライでもチーズ焼きでも、クセのないまろやかな味わいを体験することができます。一度食べるとやみつきになる味ではありませんが、悪くはないです。
チェコ人の話によると、コイの味が好きなわけではなく、クリスマスの一つのイベントとしてコイを味わっているだけのようです。