アイルランドの歴史とともにあった大聖堂
晴れた日はより美しい大聖堂
カトリックの大聖堂であったということは、イギリスの宗教改革に巻き込まれることなしに今日にその姿を残すことは不可能だったと言えるでしょう。16世紀にヘンリー8世の宗教改革によって教会の保有する財産を没収されたり、その後アイルランドで悪名の高いクロムウェルが侵攻した際には大聖堂を馬屋として使ったりもしたそうです。17世紀後半には150年ぶりにカトリックの手に戻ってきたものの、それも長くは続きませんでした。このようにセントパトリック大聖堂は、アイルランドの激動の歴史とともにあったと言えるでしょう。
修復により残った現在の姿、大聖堂の見どころ
ゴシック様式の特徴とも言える尖りめのアーチのかかった高い天井
ギネス一族の大聖堂へのサポートは実はベンジャミンのみではありません。初代アーサー・ギネスはチャペルスクールに250ギニーを寄付、4代目のエドワードは、教会の鐘やベルタワーをはじめとする多数の修復、大聖堂の横にある美しい公園セントパトリック・パークのために寄付をしたという記述が残っています。
またベンジャミン・ギネスは一部ステンドグラスの寄贈もしたと言われています。セントパトリック大聖堂のステンドグラスは壮麗というわけではないのですが、教会のゴシック建築と調和した素朴な美しさがあります。そのほか、セントパトリックやセントブリジットなどアイルランドの聖人のステンドグラスもあるので、こちらにも注目してみてください。
セントパトリック大聖堂の歴代司祭のなかには「ガリバー旅行記」で有名なジョナサン・スウィフトもいます。その縁で、スウィフトと彼の長年のパートナーであったステラもこの大聖堂で眠っています。スウィフトの胸像、自筆の本などとともにスウィフトの紹介をしているコーナーもあるので、観光の際にぜひじっくり見てみてください。
そのほか、セントパトリックが洗礼を行っていたとされる泉の跡で発見されたケルト十字の石盤も保管されていたりと、大聖堂の見どころはたくさんありますので、十分に時間を取って訪れることをおすすめします。
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