長期優良住宅/長く暮らせる家

「長期優良住宅」向くのはこんな人(2)

「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う」というストック型社会への転換を実現するためには、住宅の長寿命化を推進することが大切。こうしたことから、平成21年6月4日に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されました。一定の基準を満たした長期優良住宅は、所管行政庁(都道府県知事又は市町村長)が認定し、税制面での優遇などを受けられます。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

長期優良住宅の認定基準には、「劣化対策」「耐震性」「維持管理・更新の容易性」「可変性」「バリアフリー性」「省エネルギー性」「居住環境」「住戸面積」「維持保全計画」の9つの性能項目があります。

どんなメリットがあるの?

(1)税制優遇
≪住宅ローン減税≫

税制優遇

長期優良住宅にも税制優遇メリットはいろいろある

住宅ローン減税(現在税制改正討議中)では、一般住宅で500万円の最大控除が受けられますが、長期優良住宅の場合は、最大600万円までの控除があります。また、これまで所得税だけを対象にしていた住宅ローン減税が、住民税からも控除されます。所得税から控除しきれない場合には、翌年度の住民税から控除を受けることができます。

≪投資型減税≫
ローンを利用しないで現金で長期優良住宅を買う人にも適用されるのが、投資型減税。現在年間の持家取得の4割近くがローンを利用せずに住宅を取得していると想定され、長期優良住宅にするための性能強化費用相当分の10%相当額がその年の所得税から控除されます。

ただし性能強化費用が1000万円を越える場合、1000万円が限度額でその10%が控除額となります。性能強化費用は木造住宅であれば標準的な性能評価費用は1平米あたり3.3万円と試算されます。

たとえば100平米の住宅の場合、性能強化費用は330万円となり、その10%の33万円が所得税から控除されます。ローン減税とは異なり、対象は所得税のみで、住民税からは控除されません。また、控除額がその年の所得税額を超える場合は、翌年分の所得税額から控除することができます。この投資型減税は平成25年12月31日まで適用されるとしています。

(2)その他各種税金の軽減
冊子

住宅生産団体連合会では長期優良住宅を分かりやすく解説した冊子を販売している

・「登録免許税」の保存登記費用は0.1%(一般は0.15%)なので評価額2000万円の住宅であれば2万円(一般は3万円)。

・「不動産取得税」は1300万円を控除(一般は1200万円)されるので、評価額2000万円の場合2000万円-1300万円=700万円に税金(現在3%)がかかり、700万円×0.03=21万円(一般は800万円×0.03=24万円)。

・「固定資産税」は戸建ての場合5年目まで(一般は3年目まで)1/2軽減されるので、4~5年目の評価額2000万円の場合2000万円×1.4%(固定資産税率)=28万円の固定資産税が半分の14万円となり、4~5年目の2年間で28万円(一般の場合軽減措置がなくなるので2年間で56万円)。

(3)ローン支援
・フラット50の創設
民間金融機関が、認定長期優良住宅について最長50年の住宅ローンを供給できるように、(独)住宅金融支援機構が支援をしています。

・フラット35Sの拡充
(独)住宅金融支援機構の優良住宅取得支援制度(フラット35S)は、省エネルギー性、バリアフリー性、耐震性、耐久性・可変性のいずれか1つの基準を満たす住宅について、10年間金利を0.3%優遇するものです。認定長期優良住宅では、この金利優遇(0.3%)が20年間に延長されます。

各制度の詳細や補助内容などはネット上にもいろいろ情報が出ていますので、あえてここではお話しません。足りないのはなぜその制度が私たちの現在と将来に必要なのかという、共感を呼ぶ情報です。ここでは、そこにフォーカスして解説したいと思います。
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