F1譲りのV型10気筒に7速SMG、M5よりも速い!?
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回はBMW M6(旧型)をご紹介したいと思います。レーシングカー並みのエンジンを搭載している割には、3分割された左右のフロントサイドパネル、空力特性の高いド アミラー、サイドシルが付く程度。しかしこれなら、ガレージにオオカミを飼っていても誰にも指を指されなさそうです
M6クーペの日本デビューは2005年9月、カブリオレは2006年9月。2004年11月に登場したM5と同じ5LのV型10気筒エンジンを搭載しています。
F1の技術がフィードバックされたこのエンジンは最高出力507ps(373kW)/7,750rpm、最大トルク520Nm(53.0kgm)/6,100rpm、レッドゾーンは8250rpmとまさにレーシングカー並みです。日本の公道で思いっきり楽しめるところは無いでしょうが……。
組み合わされたミッションは第三世代となる2ペダル式7速MTのSMG。シフト時間はわずか0.05秒と2世代目SMGと比べ20%短縮され、V10エンジンと相まってまさにF1のコックピットさながらに瞬時にギアチェンジが楽しめます。
M6のバッチとともに、クローム仕上げの4本マフラーがそれとなく強心臓の存在をアピール。足元は専用の19インチ鍛造アルミホイールに、フロントは255/40、リアは285/35のタイヤを履きます
変速はステアリングに備わるパドルシフトとシフトレバーのどちらでも可能。また坂道を検知すると自動的に、上り坂では頻繁なギアチェンジが不要になり、下り坂ではエンジンブレーキが効くよう設定されています。
さらにM5と違って、M6クーペのルーフにはF1にも使用されている軽量なCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が採用されるなど、クルマの運動性能をアップするための低重心化が図られています。そのほかアルミニウム製のエンジンフードが採用されるなど、車両随所が軽量化されているのも特徴。
この結果、0-100km/h加速はM5が4.7秒なのに対し、M6クーペは4.6秒(カブリオレは4.8秒)。わずかコンマ1秒の違いですが、でもM5とは違うんです。
そもそも見た目からして、セダンであるM5は“羊の皮をかぶったオオカミ”的ですが、こちらは2シータースポーツカー然としていますから、“羊の皮から鋭い牙やツメがのぞいちゃってる”という感じでしょうか。
原稿執筆時点で中古車は果たしていくらか。M6クーペの最安値は378.8万円。2005年式/7.2万km/修復歴なしです。新車時価格が1560万円だったスーパースポーツカーを、約1/4という価格で購入することができるのです。
一方M6カブリオレはというと、わずかに一台しか見つかりませんでした。2007年式/2.7万km/修復歴なしで738万円。それでも新車時価格が1650万円ですから、半額以下です。
このようにおいしくなってきたM6。次ページ以降で魅力をさらに詳しく見ていきましょう。