光、翳、色、艶。
映像というより高密度の写真を見ている印象。
視聴は東京浜松町のシャープ東京広報内に新設なったモニタールームで行いました。最初に見たのが4KカメラF65で外国の風景をシューティングしたデモ映像で、ここで印象的なのは先に紹介した本機のコンセプト<フラットな光のカンバス>がいかに再現映像を肉眼視に近づけるか、でした。
ローカルディミングの映像に見慣れた目からすると、最初やや全体が明るいかなという印象がありますが、明暗差を強調しない画面に自然な奥行き感が生まれていることが分かります。
次に見たのがブルーレイディスク『ベン・ハー』の2Kからのアップコンバート映像で、フィルム映像の清澄な透明感と色彩のヴァラエティと艶に息を呑みます。4Kによる階調の細密化も背景にありますが、細部の光の描写、ローマ時代の衣装の金銀の輝き感が実体感に富んでいてテレビより写真に近い印象。続いて私が持参した8Kプロセスの『アラビアのロレンス』4KREDで撮影の『ブリューゲル動く絵』を視聴したが、その立体感、奥行き感の豊かさに感銘を受けました。
ICCという画質改善技術を使いながら、その結果現れる映像はきわめて自然なある意味厳しいものです。しかし、ユニフォーミティが高く画面の明るさがフラットであることがこれだけ目に優しいのかと実感させられて衝撃的です。
ICCとの合一、そして逆転の発想が生んだ直下型だから達成出来る<フラットな光のカンバス>。そこに描き出されるのは映像というより光景でした。LC-60HQ10は4Kに引っ張られるのでなく、4Kを従えてテレビの新領域に踏み込んだといえるでしょう。
オーディオにもこだわりが。LC-60HQ10に搭載のトゥイーター