住宅ローンの借入

住宅ローン金利は2012年12月が底だったのか?

安倍新政権は大胆な金融政策を計ると公言していることから、マーケットでは円安、株高が進んでいます。投資にとってはよい環境と言えるのかもしれませんが、債券は反対に売られたために、長期金利は2012年9月中旬以来の水準まで上昇しています。このため、2013年1月融資実行分の住宅ローン金利も上昇に転じているのです。住宅ローン金利の今後を予測してみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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フラット35は久し振りの大幅上昇

住宅ローン金利は久々に上昇

住宅ローン金利は久々に上昇

2013年1月融資実行の住宅ローン金利は、2012年12月融資実行分よりやや上昇しました。2012年12月と比較すると民間金融機関の固定金利選択型の金利は、5年以下の短期並びに中期固定は横ばいないし0.05%程度の上昇。5年を超える長期、超長期では0.05%程度の上昇となりました。変動金利型の金利は変わっていません。

一方、全期間固定の代表格ともいえるフラット35の金利は2012年12月融資実行分よりも概ね0.13~0.18%もの大幅な上昇となりました。余談ですが、財形住宅融資の金利は0.03%引き下げられています。フラット35に話を戻すと、融資金利が1番低い金融機関のケースでは、融資期間が20年以下の適用金利は12月=1.53%、1月=1.66%。融資期間が21年以上の適用金利は12月=1.81%、1月=1.99%になっています。

仮に2000万円の住宅ローンをフラット35で借り、返済期間を30年の毎月返済のみとすれば、12月の金利では毎月の返済額は72038円、総返済額は25914285円ですが、1月の金利だと毎月の返済額は73823円、総返済額は26558268円となります。毎月で1785円、総返済額で643983円もの負担増になってしまうのです。返済額などはシミュレーションソフトなどの違いにより、数値は異なることがありえます。また、融資手数料等は加味しておりません。

長期金利の動きが鍵になる

フラット35や固定金利選択型の長期、超長期固定を中心に融資金利が引き上げられたのは、長期金利が上昇したためです。住宅ローンの金利は毎月第1営業日に見直しが行われるのですが、見直しが行われる前の月のおおよそ1週間前程度の市場金利を参考に決められています。

変動金利は短期プライムレート、言い換えれば日本銀行の金融政策を反映して見直されることになりますが、5年以下の短期や中期固定金利は、2年または5年の中期国債の動きを反映、5年超の長期、超長期、フラット35は長期金利や超長期の動きを反映して見直しが行われているのです。

2012年11月末から5営業日平均と2012年12月末から5営業日平均を比較すると、11月は2年=0.0982%、5年=0.184%、10年=0.742%、20年=1.678%だったのに対し、12月は2年=0.0986%、5年=0.182%、10年=0.78%、20年=1.734%というように10年以上の市場金利が上昇したことが反映され、1月の住宅ローン金利が上昇したわけです。

わずか0.05%前後とはいえ、金融機関にとっては看過ならない金利の上昇(たぶん、1月の金利上昇も見越している)だったことから、適用金利は引き上げられたのだと思われます。ポイントは今後の金利がどうなるのかですが、緩やかに上昇して行く可能性が高いと思われてなりません。

長期金利は、2011年3月の1.3%台からほぼ1本調子で低下して、2012年12月上旬には、2003年6月以来の0.7%割れの水準まで低下しました。その後上昇に転じ、2013年1月4日の終値ベースでは0.835%と2012年9月中旬の水準となっています。今から2月の適用金利を占うのは時期尚早かもしれませんが、0.8%の水準をキープし続けたとしたら2月の適用金利も引き上げられると思われます。

急上昇はないにしても、安倍新政権のさまざまな政策により、円安、株高、さらには景気回復の光が鮮明になるにつれ、長期金利は緩やかに上昇していく可能性が高いと思われます。2012年ですら4月には長期金利が1.0%を超えていたのですから、2013年中に再び長期金利が1.0%を超えても何ら不思議はないでしょう。住宅ローン金利は2012年12月の融資実行金利が底であった気がしてなりません。

底ではない可能性があるとすれば、安倍新政権の大胆な金融緩和政策で、国債の買い入れ対象を誰もが驚く期間、例えば償還10年までなどとすれば長期金利は再低下。2012年12月の適用金利を下回ることもあり得るでしょう。
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