教育資金は中学卒業までにめどを付ける
増税、社会保障受益者負担増と社会保険料アップ……。これからの「高負担時代」に向けて、親自身の人生設計とのバランスを考えるなら、教育資金は中学卒業までにめどを付けるようにしないといけない時代かもしれません。
教育資金の目標額
教育資金の準備は子どもが生まれたらすぐにスタートするのが原則です。しかし、進路がある程度見えないと、教育資金の準備ができません。まずはどんな教育を受けさせたいのかについて夫婦でよく話し合ってみましょう。教育資金を準備するにはまず、「いくら貯めるか」という目標を立てるといいでしょう。大学や専門学校進学まで視野に入れて準備をする場合は、ベースとなる程度の貯蓄は最低限しておきたいものです。
教育費は国公立中心か私立か、最終学歴はどこまでか、私大だとしても文系か理系か医歯薬系かなど、その選択によって大きな差となります。優秀な学生なら返済不要の奨学金も利用できますが、そうでなければ親の懐を直撃するのが教育費です。それに備える意味でも、事前に準備をしておきたいもの。
公立中心で大学・専門学校まで行かせてあげたい場合、大まかな金額ですが、子ども1人につき「300万円(~500万円)」を目安に貯めれば、足りない分は奨学金を借りるなどすればどうにかまかなえるラインでしょう。
大学時代に下宿する可能性がある場合は、もう少し多めに、1人につき「500万円(~700万円)」を目標に準備をしておくと選択肢が広がります。
お子さんが2人なら、原則2倍になります。どうしても無理なら「1人200万円までは援助する」などとハードルを下げて、できる範囲で実行するのも1つの方法です。何も準備できずに高校時代を迎えるのと、たとえ100万円でも準備できているのとでは、非常に大きな差といえます。
◆貯蓄目標額(公立中心の進路の場合)
自宅通学:1人につき300万円(~500万円)
下宿:1人につき500万円(~700万円)
中学から私立であったり、高校が私立という場合は、上記よりも多めの準備をしておきたいもの。私立の時期は、1人の子どもにつき目安として年間120万~150万円程度の学費が発生します。
家計に非常にゆとりがあって、今後もその状況が大きく変わらないのであれば、特段の準備は必要ない場合もありますが、半分は貯蓄を取り崩しながらまかなう、という場合は700万~900万円程度の貯蓄を、塾代がかかる前の小学校4年生くらいまでに準備をしておくと安心です。
教育資金はどう貯める?
教育資金の目標額を決めたら、次は「どう貯めるか」です。最もラクなのが、毎月コツコツ貯める方法(+ボーナス月に増額)です。例えばお子さんが中学を卒業するまでの15年間で、元本だけで300万円貯めることを目標とすると、積立額は下記のようになります。
- 300万円⇔1万6700円×12カ月×15年
- 300万円⇔1万円×12カ月×15年+(ボーナス4万円×2回)×15年
教育資金の貯蓄に向く商品としては、財形貯蓄(勤務先が制度を導入していれば)や学資保険、自動積立定期、投資信託の積立などです。いずれも天引きや保険料引き落としで確実に貯められるほか、解約などもしにくく、教育資金を貯めるのにはぴったりです。ただし、投資信託の積立は元本割れもあり得ます。
教育資金のベースは中学卒業までに
前項の例でも、教育資金を15年で貯める試算にしましたが、筆者は教育資金の準備のめどを15歳までに付けることを推奨します。その理由は3つあります。理由の1つ目は、高校以降は塾通いなどもあって家計的に貯めにくくなるため、15歳までにベースを作っておきたいためです(注:私立中学などの場合は前提が異なります)。
2つ目が、15歳をめどにベースを作る覚悟で準備を進めておけば、急な進路の変更などにも対応しやすいため。筆者自身が体験したことでもありますが、予定外に中学から私立になった場合でも、早めに準備をしておくことで資金計画の変更が可能です。つまり、選択肢を広げることができます。
最後の1つは、教育資金の大まかな準備を終えて、老後資金準備を行う時間を確保するため。生活コストの上昇や年金受給の減少、医療・介護の負担増など、しっかりと老後資金を準備しておく必要に迫られています。
こども保険・学資保険で貯める場合も、過去の標準利率引下げで保険料が上がり、最近は10年、15年など短期払いが中心になっています。
教育資金の準備のめどが15歳前後で付けば、その後は老後資金の準備や住宅ローンの繰り上げ返済にお金を回すことができます。末子が15歳だと、親の年齢も40代が中心でしょうから、セカンドライフに向けた準備を始めるのにはちょうどいい年齢だと思われます。
【参照】
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