建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

密集地に建つ塔の家[Small House]

東京の住宅密集地の一画に、30代の若夫婦と子供が住む4m四方の細長い家が完成しました。9mの高さの中に、各階の天井高に変化のある正方形のワンフロアを積み重ねたような、究極の狭小住宅です。

執筆者:川畑 博哉

この小さな家は、戦時中の東京大空襲を免れた地域の一画で、路地に面して小さな住宅が肩を並べる密集地にあります。間口7m、奥行き5.5mの10坪の敷地いっぱいに建てるとなると、前面道路の斜線制限によって6mくらいの高さにしか建たず、3階建てがせいいっぱい。そこで「周囲により多く光を落とすという条件を満たせば斜線制限以上建てられる」という天空率を使い、広さより高さを選択することで、9mの高さで建ち上げることに成功したのです。

4m四方の塔の家[Small House]


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外観
1. 住宅密集地の路地に面して建つ。大窓から螺旋階段が見える。
2. 北側の角を見る。最上階の鳥籠の様なルーバーの内側は屋上テラス。
3. 路地に面した玄関は、高さ1.8mのアルミサッシの引戸。
4. 西側から見た夜景。室内を照らす暖かい光がもれる。
写真は全て畝森泰行建築設計事務所


小さな家が建ち並ぶ、迷路のような4m幅の路地を行くと、近隣よりひときわ高い塔のような建物が見えてきます。西側に愛車のジープ・チェロキーのための駐車スペースをとり、背後の近隣から50cmほど離して、敷地のほぼ真ん中に4m四方の正方形の家を建てました。
外壁は長さ2mのフレキシブルボードの下見板張り。防水上のメリットだけでなく、多少の色ムラによって、石のようにも風雨で褪色した木の板のようにも見える面白さもあります。

◆建築データと建築家プロフィール


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