『ZIG ZAG Chair』
Rietveld( リートフェルト)
チェリー材の赤みを帯びた木板が4枚、折り重ね連なる単純な構成が美しい椅子。正面からはその木板の薄さは微塵も感じられない木の量感がある椅子。
今回ご紹介する椅子は、1934年にデザインされた折紙のような『Zig Zag chair』、文字通りジグザグの椅子。
デザイナーはオランダ人:ヘリット・トーマス・リートフェルト(Gerrit Thomas Rietveld)。筆者のプレス・レポート日本初のリートフェルト展でもすでにご紹介の家具デザイナー・建築家である。
リートフェルトは、大好きなデザイナーの一人。筆者が高校生の時、インテリアデザイン・ファニチャーデザインに興味をもつきっかけとなった椅子:『 Red&Bule chair』をデザインしている。「Red&Bule」は、おそらく世界中の誰もがどこかで見たことのあろう赤・青・黄による点と線と面の構成が特徴の椅子。近代ファニチャーデザイン、いや20世紀のモダンデザインの象徴的存在の椅子である。
そのリートフェルトが「Red&Bule」の16年後に制作した椅子が『Zig Zag chair』。
筆者にとって、あまりにも「Red&Bule」が衝撃的な出会いだったため、当初この『Zig Zag chair』にはあまり興味をもっていなかった。
ところが、構造のユニークさ、コンパクトなフォルムの美しさ、そしてなによりも木製であるという点から指導しているデザイン学校でのシリーズ授業「名作椅子をつくる」の第1回目にこの椅子を抜擢し、プロジェクトを進めるほどにのめり込んだ椅子でもあった。
製作する側から見ると、とてもプロダクト(量産)的であり、かつ挑戦的デザイン、そして計算されたデザインだから面白い。カッシーナ社に協力して頂き実物椅子を分解してみると、ジョイントの工夫や最小限の材料と理にかなった構成には感動と驚きの連続だった。無事完成した椅子は我が事務所に鎮座しているが、オリジナルが醸し出す空気と言おうか存在感は新しいデザインに挑んだリートフェルトの心意気そのものである。
さて、あらためて次ページで『Zig Zag chair』をご紹介しよう。