水道設備がなければ、毎日の生活は困難に!
さすがに長期間の断水の後に再開されたときはありがたく感じますが、通常の生活において水道設備があるのは当たり前で、水道設備のない一戸建て住宅やマンションなど考えられません。
ところが、厚生労働省が発表した「給水人口と水道普及率」(2016年3月31日現在)の数字をみると、水道(上水道、簡易水道、専用水道の合計)の普及率が100%なのは東京都、大阪府、沖縄県だけです。大半は90%台の後半ですが、90%に満たない県もあるようです。
そして全国合計の普及率は97.9%。人口では269万8823人が水道のない暮らしをしているというデータになっています。もちろん何らかの代替手段はとっているでしょうが、意外と多い数字にちょっとびっくりといった感じです。
しかし、世界を見渡せば水道が整備されていなかったり、水の確保そのものが重要な課題だったりする国や地域も多いようです。さらに、水道水をそのまま飲むことのできる国は世界の中でもごく少数に過ぎないのだとか。
空気と同じように「そこにあるのが当たり前」と考えてしまいがちな水道ですが、そのような環境の中で暮らしていけることに、もっと感謝をしなければいけないのかもしれません。
という話はさておき……。
一戸建て住宅や土地を購入するときには、水道の配管やその埋設状況などについて、しっかりと確認をすることが必要です。とくに中古住宅や土地の場合には、水道管が何らかの問題を抱えていることも少なくないため、十分に注意しなければなりません。
ところが「あって当然の設備」という意識が強いためか、購入するときの確認が疎かになりやすいのも水道です。
重要事項説明では……?
売買契約前に宅地建物取引士が行なう重要事項説明において、マンションの場合にはあまり詳しく触れられませんが、一戸建て住宅や土地の場合には、前面道路の埋設管(本管、配水管)と宅地内へ引き込むための埋設管(引込管、給水管)について、その位置と口径が説明されます。多くの場合は、水道局などで取得した給水装置図面(水道工事の際の図面)なども合わせて示されるでしょう。
しかし、たいていの説明はそこまでです。既設水道管の口径で十分なのか、管の材質に問題はないのか、老朽化や耐震性の問題はないのか、といったことまで深く掘り下げて説明されることはほとんどありません。
もちろん、行政側や水道事業者からの指導や規定に基づいて「引込工事をやり直さなければならない」というような場合には、不動産業者にその旨の説明義務があります。ただし、その場合でも具体的な工事費用まではなかなか説明されないでしょう。
水道の引込管がない土地などの場合には、その旨と「新たに工事が必要である」といったことが説明されます。引込工事をやり直す場合も含め、工事費用などについてはあらかじめ指定工事業者などに確認をすることが必要です。
引込管の口径に問題はないか
一般の住宅で使われる引込管(給水管)の口径には、13mm、20mm、25mmなどの種類があります。昔の住宅では13mmが主流となっていましたが、現在の生活様式では水量(水圧)不足が否めません。キッチン、バス、トイレ、洗面所などのうち2か所以上で同時使用したときには、急に水量が落ちることもあるでしょう。タンクレストイレを使っていれば「モノ」が流れないといった事態も起きます。
一般的な住宅でも20mmが望ましいものの、中古住宅では昔の13mmのままだったり、比較的新しい住宅でも「毎月の基本料金が安い」という理由で、あえて13mmにしていたりすることがあります。一人暮らしの住宅であれば、そのままでもさほど問題が起きることはないでしょう。
ただし、自治体や水道事業者によっては、建物内の水栓器具の数などに応じて引込管の口径を決めている場合もあります。
購入しようとする住宅の引込管が13mmのときには、20mmでの引き直しが可能か、その費用がどれくらいかかるのか、といったこともしっかりと確認しておくべきです。
ちなみに、東京23区の場合には原則として、20mm以上でなければ新たに水道を引き込むことができません。道路内の埋設管については既に20mmへの更新が終わっているため、道路境界から水道メーターの間の配管がどうなっているのかを確認します。ここに13mmの引込管が残っている場合には、その交換を検討することになります。
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