中古住宅・中古一戸建て/中古住宅の購入術

水道の配管、埋設管についての確認ポイント(2ページ目)

普段の生活で当たり前のように使っている水道ですが、その配管(埋設管)にはさまざまな問題が潜んでいます。中古一戸建て住宅や土地を購入するときに気をつけなければならない点は何なのか、しっかりと理解しておくようにしましょう。(2017年改訂版、初出:2012年11月)

執筆者:平野 雅之


引込管の材質はどうか

水道の引込管(給水管)には、鉛管、鋳鉄管、ステンレス鋼管、塩化ビニル管、ポリエチレン管などさまざまなものがあります。このうち安価で加工が容易な鉛管は、明治時代の近代水道普及期から広く使われてきました。

ところが鉛による人体への影響が指摘されるようになり、現在はステンレス鋼管、塩ビ管などが使われるようになっています。

鉛管だからといって即座に健康被害を及ぼすことはないでしょうが、「朝一番の水を使うときや旅行等で長時間使用しなかった場合には、念のためバケツ一杯程度の最初の水は飲用以外の用途に使用することをお勧めします」(東京都水道局)といった内容の呼び掛けが、各自治体からなされています。

ところが鉛管の使用が禁止されたのは比較的近年であり、早い自治体でも昭和50年代頃、東京都で使用が全面禁止されたのは1995年(平成7年)のことです。

つまり、それ以前に建てられた住宅では現在も鉛管が使われている可能性が高く、中古住宅の売買にあたって引込管の材質を確認することが欠かせません。

「引込管(給水管)は個人の財産である」という理由から、鉛管を他の材質のものに取り換える工事も個人の負担と責任で行なうことになっていますが、補助制度、助成制度などを設けている自治体もあります。


老朽化や耐震性の問題はないのか

水道管の耐用年数は一般的に40年とされていますが、敷地への引込管などはその材質やメンテナンス状況によっても異なります。

近年、本管(配水管)の老朽化が大きな社会問題となり、急ピッチで更新工事をしている自治体などがある一方で、財政上の問題などからなかなか進まないところも多いようです。

住宅敷地への引込管(水道メーターまで)は、必ずしも建物の建築時期と一致せず、それ以前から使われている場合もあります。以前の住宅敷地で使われていた引込管をそのままにして、建物が再建築されたような場合です。

したがって、比較的新しい中古住宅でも引込管が古くなっているケースはありますから、その工事時期が分かれば確認しておきたいものです。あまり古いと記録が残されていない場合もあるでしょうが、相当に古いことが分かれば、その取り換え工事を検討しなければなりません。

一方、水道管の耐震性の問題も大きくクローズアップされていますが、本管での対策がようやく進み始めたところであり、残念ながら住宅敷地への引込管についての対策はこれからといった段階でしょう。地盤強度の問題などと合わせて考えることが必要です。


埋設管が他人の敷地を通っていないか

水道は前面道路の本管から真っすぐ敷地内へ引き込むことが原則です。ところが、前面道路に本管がない、あるいは前面道路に本管が埋設される前に工事された引込管をそのまま使っているなどの理由で、引込管が他人の敷地の下を通って埋設されているケースがあります。

また、その逆に他人の引込管が自分の敷地を通っているケース、さらには1本の引込管を数軒で共用しているケースなどもあります。

水道本管の敷設時期が早かった昔の国道や軍用道路沿いの敷地の場合、一帯が借地の場合、以前は借地だった場合、あるいは前面道路が私道の場合などに比較的多くみられるようです。

自分の住宅への引込管が他人の敷地を通っていれば、漏水事故などが起きたときにその責任を問われることになりかねません。逆に、自分の敷地に他人の引込管が通っていれば、建築に何らかの支障が生じることもあるでしょう。

また、1本の引込管を数軒で共用していれば、水圧低下による水量不足が起きやすくなります。

いずれにしても、引込管の埋設状況に問題があれば、それを引き直すことを前提として考えなければなりません。これらはたいてい水道局の給水装置図面などで判明するため、売買契約前に重要事項として説明されるはずです。

なお、敷地の前面が私道の場合で、既にある水道の埋設管にあまり余力がないときにも注意しなければなりません。新たに引込管を接続すると、同じ管を使う近隣などで水圧が下がる可能性があるときなどには、公道面からの引込管工事をすべてやらなければならない場合もあります。

ただし、その判断は難しく、不動産業者の調査でなかなか判明しないこともあるでしょう。


売買契約前に工事費用を明らかにしておくべき

引込管(給水管)に関するいくつかの問題点を取り上げましたが、取り換え工事や引き直し工事などをするときの費用は、自治体による助成などがあるかどうかは別として、すべて個人で負担しなければなりません。

とくに敷地のすぐ前に本管がなく、長い距離の引き込み工事を必要とするときには、100万円を超えるような負担となる場合もあるでしょう。

前面道路が私道であれば、掘削の承諾料としてそれぞれの権利者にいくらかの金銭を支払わなければならない場合もあります。承諾料の有無は地域性や慣習によって異なり、これといった相場はありません。

また、新たに引き込みをするときや、管の口径をアップさせるときには、自治体や水道事業者によって「水道加入金」が必要となる場合もあります。

工事費用などの発生が見込まれるときには、できるかぎり売買契約の締結前にこれを明らかにするべきです。

不動産業者が明示できないときには、指定工事業者への確認や見積もりを優先させ、それが分かるまで契約を結ばないといった選択も考えましょう。「とりあえず売買契約をして、それから金額を確認する」というのは、トラブルを招く原因になりかねません。


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