抜けるようにクリアで明快。迫り来るボーカルに感動
では、「PowerJax+Remote」はどんな音がするのでしょうか。同社のWebページでは、「高音は? あなたの目を覚ますでしょう! 低音は? あなたをノックアウトするかもしれません!」とアピールしていますが、私は「中音の明快さ」がこのイヤホン最大の魅力だと感じました。あいまいさを抑え、硬質で前に出てくる音作り。現代的なハイスピードサウンドによく合います
高音はハイエンドまでさり気なく伸ばすのではなく、この中音に合わせエネルギー感を十分にアピールしてくれます。顕微鏡で微細な世界を探すような聴き方よりも、音楽を思い切り浴びたいという嗜好に合いそうですね。
ハード系の音作りということで、中高音の刺激感や硬さ、高音の主張の強さがちょっと気になる場面もあるのですが、これはエージングによって角が取れていきそうな気がします。ボーカル以外でも、ロック系の音楽ではこの性格がプラスに作用し、切れ味鋭いサウンドで楽しませてくれます。大音量で聴いても音が混濁せず、安っぽさや腰くだけ感を一切見せない点も好感が持てました。
低音の表現も印象的です。音楽の中の低音には「ドンッ!」と歯切れよくアタックしてくる低音や、「ズ~ン」と漂うように広がる低音などさまざまな種類があります。低音の量だけ、伸びだけに偏りがちなイヤホンは、「ドンッ!」が「ドウン!」に、「ズ~ン」が「ボワ~ン」にと、だらしなく垂れ流されてしまうことも多いのです。
こういう低音は量感だけがたっぷりしているため、音がいいと感じる人もいます。しかし、実際には、楽器の音を正確に表現してはいません。対して「SuperDarts + Remote」は、低音にも中高音同様の締まりがあります。
クリアさ、音程の再現性という面では中高音が勝っている気はしますし、力強さはあっても音のエッジはまろやかな感じですが、十分に気持ちのいい低音ではないでしょうか。1万4800円でこのサウンドとこのスタイルが楽しめるのですから、コストパフォーマンスはバツグンに高いと実感しました。
【関連サイト】
ATOMIC FLOYD「PowerJax+Remote」
ATOMIC FLOYD「SuperDarts + Remote」