チェックしたい指標その2:アメリカの雇用統計
世界が注目するアメリカ雇用動向。足元は回復基調だけど、来年以降の”財政の壁”を乗り切れるか…!?
アメリカのGDPの7割は個人消費が占めており、個人消費の動向がアメリカ経済に大きく影響します。個人消費が上向くには収入の安定が不可欠。雇用が良くなれば収入が安定し、人々が消費に向かうはず、というのが注目される理由です。
雇用統計は毎月第一金曜日に米労働省から発表され、公表時期が早く速報性が高いことで知られます。発表の主な内容は失業率と非農業部門雇用者数。特に重要なのが非農業部門雇用者数です。アメリカ全体の雇用者数が、前月にくらべ何人増減したかをあらわす数字で、季節による影響が大きい農業の雇用者数は除かれています。
非農業部門雇用者数が増加すれば経済が好調、減少すれば鈍化のサイン。ちなみに、アメリカ失業率の低下には月15万人程度の増加ペースが必要といわれています。そして、上のグラフでもわかるとおり、非農業部門雇用者数の推移と世界の株価指数にはとても高い連動性がみられます。前月比でどれくらい増減しているか、非農業部門雇用者数の推移はアメリカのみならず、世界の株式市場、債券市場、為替市場に大きく影響しています。
※アメリカ雇用統計はこちらで確認できます。
あわせて見ておきたいアメリカ経済指標
この他にもアメリカ個人消費に影響をあたえる主な指標として、商務省が毎月中旬に発表する「住宅着工件数(New Residential Construction)」があります。これは新設住宅の件数を表すもの。住宅購入は家具や家電などの需要も伴うため、経済への波及効果が大きく、景気を押し上げる大きな要因となります。また、製造業の回復は雇用安定につながることから、米供給管理協会が発表する「ISM製造業景況指数(Manufacturing ISM Report On Business)」も注目されます。毎月第一営業日に発表され、速報性の高い景気の先行指標。50%が分岐点で、50%を上回れば景気が拡大、下回れば後退と判断できます。
アメリカ経済は日本経済にも大きく影響します。これらは海外市場だけでなく国内市場に参加する人もぜひおさえておきたい指標です。
次のページで、世界経済において存在感を増す中国の経済指標をご紹介します。