高齢者や低体重者では、不足の可能性も
繰り返しになりますが、「日本人の食事摂取基準」の各論「たんぱく質」の解説では、とまとめられています。たんぱく質の必要量は、エネルギーならびに他の栄養素の摂取量が十分であるという前提のもとに求められている。したがって、エネルギーや他の栄養素の摂取量が不足した状態では、たんぱく質摂取量が基準量を満たしていても、たんぱく質の栄養状態を正常に維持できない場合もあること、またたとえエネルギーが平衡状態にあっても、高齢者や身体活動が低下している者あるいは低体重の者にあっては、基準量のたんぱく質を摂取していてもたんぱく質が不足状態となる場合があり得ることに留意すべきである。
国民健康栄養調査の結果では、不足していませんが、あくまで平均値ですから、全ての人が平均量をとっているわけではなく、とりすぎの人、不足しがちな人もいるわけです。
高齢者は一人暮らしの方も多いと思います。家族の人数が減ると、一人分の少量多品種の献立を作るのは難しくなってきます。どうしても作りやすい単品なおかずだけを作ると、自分では気づかないうちに栄養が偏ったり、油脂類とともに肉類をさけるなどして栄養不足の状態になることもあります。
低栄養状態におちいると、やせたり、筋肉量や筋力の低下から転倒や骨折をしたり、また免疫力が低下して感染を起こしやすくなると考えられています。近年、高齢者ではたんぱく質・エネルギー低栄養状態が大きな問題となっています。骨粗鬆症予防には、カルシウムやビタミンD、イソフラボンなどの他にも、たんぱく質も必要です。
また高齢者だけでなく、近年は若い女性の「やせ」願望がありますが、偏った食事は、体調不良や高齢となってからの骨密度の低下等にもつながります。
たんぱく質をとり過ぎると腎臓の負担となったり、カルシウムを排泄したりするとデメリットもありますから、サプリメントなどの利用には注意が必要です。何事も偏った食べ方にならないように、ほどほどにバランスよくいただきましょう。
関連リンク/
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参考/
・平成22年国民健康・栄養調査結果の概要
・「日本人の食事摂取基準」(2010年版)(厚生労働省)
・「日本人の食事摂取基準(2010年版)各論たんぱく質」(厚生労働省)
・高齢者のたんぱく質不足に潜むリスク(メディアミルクセミナー)
その他