ハンピの見所1. ハンピ村中心部
こちらもヘーマクータの丘とヴィルパークシャ寺院。この辺りにはこのような奇岩が無数に転がっているが、もちろん人工的なものではない
ヘーマクータ寺院群。奇岩といい廃墟といい、いずれも崩れる寸前に見える
西にそびえているのがヘーマクータの丘で、ハンピがヴィジャヤナガル朝の首都になる以前に建てられたヒンドゥー教・ジャイナ教の寺院群が連なっている。原始的ながら非常に力強い意匠が特徴だ。
その横にあるのが15世紀に建てられたヴィルパークシャ寺院。他の寺院がほとんど遺跡であり廃墟であるのに対して、この寺院はいまだ人々が祈りを捧げに訪れる生きている遺跡だ。ヴィマーナ(本堂)に収められているのはシヴァの妻パールヴァティーで、この地域の守り神である女神ハンパーと同一視された。内部は聖域なので、その空気感と美しい彫刻群を楽しみたい。
ナラシンハ像
クリシュナ寺院は英雄クリシュナの活躍を描いた『マハーバーラタ』のレリーフが美しい。近くには高さ約7mになるナラシンハ像があるが、獅子の顔を持ち、龍神ナーガを従えるこの神様もヴィシュヌの化身とされている。
現在ハンピは辺鄙な田舎村だが、かつては人口30~50万を誇ったヴィジャヤナガル朝の首都ヴィジャヤナガル。その中心がヴィルパークシャ寺院から東に伸びるメインストリート=ハンピ・バザールで、周囲に残る列柱廊がストリートや市場の名残だ。
ハンピの見所2. マタンガの丘とその周辺
ハンピの最高傑作といわれるヴィッタラ寺院。左右の建物がマンダパで、奥に小さくガルーダ堂が見える
ヴィルパークシャ寺院と並ぶハンピのランドマークである山車型のお堂、ラタ。神鳥ガルーダを祀っている
ヴィッタラ寺院はヴィジャヤナガル朝の最高傑作といわれるヒンドゥー寺院。16世紀、ヴィジャヤナガル朝最盛期を支えたクリシュナ・デーヴァラーヤ王の建築で、王朝最大規模の大きさを誇ると同時に、繊細な彫刻がとんでもなく美しい。世界的に見ても、規模と芸術性を兼ね備えた稀有な遺跡だ。
特筆すべきは56本の列柱を持つ礼拝堂マンダパだ。1本の柱を彫り込んで幾本もの柱に見せており、そこに神々の像をあしらっている。この柱を見ていて思い浮かべたのが人体だ。複数の骨を組み合わせて1つの部位を形作る生命の精緻ささえ感じてしまう。
精緻な彫刻で彩られたヴィッタラ寺院のマンダパ。柱は馬に乗った戦士を描いている
クリシュナ・デーヴァラーヤ王の弟であるアチュタ・デーヴァラーヤが築いたのがその西にあるアチュタラーヤ寺院、別名ティルヴェンガラナータ寺院だ。この寺院はマタンガの丘のすぐ脇にあり、奇岩に覆われた丘との調和がすばらしい。自然と廃墟ってなんでこんなにも美しいのだろう。この寺院にもやはりコプラム、マンダパ、ヴィマーナがあり、繊細な彫刻に彩られている。