彩りある見た目と豊富なメニュー
店内へと進むと、正面に2階へと続く階段、そして右側にテーブル席が並んでいます。この日は知人と2人、ちょうど1階のテーブル席が空いていたのでそこに着席。落ち着いた間接照明、そして静かにジャズが流れています。お昼時は回転のいいそば店で、先代が会計席に座り、帰るお客さん1人ひとりに「お味はいかがでした?」とやさしく問いかけを。それぞれ感想を一言告げるなど、会話をしながらお会計を……なかなかいい光景です。他の老舗店でも、先代と思われる方が会計場所付近にいて来店に感謝をする、そんなシーンを複数店で見たことがあります。子どもに代を譲ると同時にスパっと引退、という方もいるかもしれませんが、“代を継ぐ”、それは意外と長い時間をかけて親子が連携をしながらの緩やかなものなのかもしれませんね。
私はお昼のおすすめと表記されたランチタイム専用の「長寿豚の肉せいろ」(1050円)を、知人は「九条葱のせいろ」(1029円)をオーダーしました。
運ばれてきた長寿豚の肉せいろ。大きめの温かいつけ汁の器の中にカットされた豚肉の姿が、そしてもりは2段重ね。おかわりせいろ付きです。そばは、細いながらしっかりと角があります。一方の九条葱のせいろ、彩りがいいですね。つけ汁の中には、色鮮やかな九条葱、ごぼう、えのき、しめじ、なす、鴨ひき肉など具だくさん。薬味には普通のねぎと、わさびではなくしょうがです。
周囲を見回すと(漂う匂いでも十分わかりますが)、カレー系のそばを頼んでいる方が目につきます。目の前のそばを食べる前に、次回はカレーメニューにチャレンジする、みたいなことを決意しました。
スパイスを感じる“カレー”系メニューも充実
別の日に今度は一人、“カレー目的”で再訪問を。この日は1階が埋まっていたので初めて2階席へと上がります。2階もテーブル席ですね。夜など貸切予約の際には3階の掘りごたつの席もあります。オーダーは熟慮の末、「カレー南蛮」(945円)。過去に結構テレビをはじめとするメディアに登場している人気メニューです。運ばれてきた一品、まずはなかなかい刺激的な匂いで食欲をそそってくれます。薬味のネギを入れて少しとろみのあるカレーを一口いただくと、いままで食べたことのあるカレー南蛮とは一線を画す“スパイス”を感じます。いわゆる普通の“そば屋のカレー”ではないですね。カレー関連メニューには、「辛口カレー南蛮」(997円)、具を鶏肉か豚肉を選べる「つけカレーせいろ」(997円)などもあります。自家製で自信を感じさせる品々、カレー好きな方にはぜひ一度トライしていただきたいですね。
豊富なメニューをそろえる同店。旬の食材を巧みに活用し、季節の天ぷらなども充実しています。真夏にいただいた「夏野菜の天せいろ」(1522円)。9種類のカラフルな野菜天は、見た目でも楽しめる内容です。トマトやズッキーニの姿も……伝統に縛られない意欲を感じますね。
帰ろうと席を立つ寸前に、ふと箸袋の裏を見ると、「お味は如何でしょうか お聞かせ下さい 店主 苦労性の為」という一文が……先代の姿を思い出し、納得です(笑)。
世界初の映画館が生まれた年に誕生したそば店でランチはいかがでしょうか?
■日本ばし やぶ久
住所:東京都中央区日本橋2-1-19
TEL:03-3271-0829
営業時間:11:00~16:00、17:00~23:00(土曜日は21時30分まで)
定休日:日・祝
地図:Yahoo! 地図情報