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価格の割安感が中古住宅の人気を後押しする。

私ガイドは、ここ数年で中古住宅に対する一般消費者の印象(評価)がかなり変わったと感じています。

2006年に「住生活基本法」が制定され、わが国の住宅政策は「住宅の量を増やすこと(フロー)」から「資産として確保すること(ストック重視)」へと方向転換されました。また、2009年には「長期優良住宅普及促進法」が施行され、長期間にわたって使用可能な良質な住宅ストックの形成が法律として方向付けられました。

さらに、今年7月31日には2020年までの経済成長戦略である「日本再生戦略」が閣議決定され、住宅分野については持続可能で活力ある国土・地域の形成に向けて、中古住宅流通・リフォーム市場を活性化する環境整備の促進が盛り込まれました。住宅政策をつかさどる国土交通省は「中古住宅・リフォームトータルプラン検討会」を設置・開催し、中古住宅および住宅リフォームの各市場を整備するための具体的施策を内容とする総合プランの立案に着手しています。同時に「不動産流通市場活性化フォーラム」も立ち上げ、どうすれば日本の中古住宅流通を活発化させることができるのか、有識者による議論が交わされています。

こうした努力の甲斐があってか、「古い」「汚い」「耐震性が心配」といったネガティブ要因より、「価格が安い」「同じ予算で新築住宅より広い住宅が手に入る」といった価格の優位性(割安感)がポジティブ要因として評価されるようになりました。「自分の好みに応じてリフォームできる」といった点も好意的に受け止められています。

消費税の引き上げが“カウントダウン”を始めたなか、中古住宅は消費税が非課税(個人間売買の場合)となる点も取引を活発化させるでしょう。「新築重視」「中古軽視」といった既成概念は“過去のもの”になろうとしています。「いいものを長く大事に」といった精神が住宅マーケットに根付き始めています。

しかし、残念なことにすべてが好循環ではありません。中古住宅取引で必要になる「仲介手数料」に関しては課題が山積しています。一般消費者に正確な情報がアナウンスされておらず、いまだ“業者の論理”がまかり通っています。消費者サイドにとっては由々しき事態なのです。そこで、業界の非常識が是正されるよう、媒介報酬をめぐる「ウソ」と「ホント」を判定します。

中古住宅の取引にかかる仲介手数料「3%」はウソ  「上限3%」がホント 

仲介業者を介して住宅を取引した場合、その対価として仲介業者に報酬を払う必要があるのは、ご存じの通りです。一般個人が自宅を売却した際、あるいは中古住宅を購入した場合、売買する相手(買い主、売り主)を見つけてもらった労力に対し、報酬を支払わなければなりません。

では、その報酬額はいくらになるでしょうか?―― 仲介業者(宅地建物取引業者)が受け取れる報酬額は法律によって決められており、以下のようになっています。
宅建業法/報酬額の上限

 

(1)に、報酬額は「国土交通大臣の定めるところによる」とあり、国土交通省告示によって「成約価格×3%+6万円(税別)」(速算式)と定められています。たとえば、成約価格が3000万円とすると、3000万円×3%+6万円=96万円。これに消費税5%を加えて100万8000円(96万円×1.05)となります。

ここで、よく見ていただきたいのが(2)です。「宅地建物取引業者は、前項の額を超えて報酬を受けてはならない」とあります。つまり、「3%+6万円」というのは告示で定める報酬の上限額であって、報酬額が「3%」というのはウソ。「上限3%」というのが正確な表現であることが分かります。

報酬額は取引額や媒介の難易度、さらに労力その他の事情が斟酌(しんしゃく)されて定められる性質のものであり(最高裁判例)、仲介業者はこの上限額を当然に請求できるわけではありません。表現を変えれば、取引の当事者(売り主、買い主)は「成約価格×3%+6万円(税別)」の報酬額を言われるままに支払う必要はないということです。媒介契約を締結する前に、きちんと報酬額を取り決めておくことが重要といえます。業者の論理に呑み込まれないよう、「ウソ」か「ホント」か正確な理解と知識が欠かせません。

次ページでは、報酬額を全額支払わなくていいケース(判例)をご紹介します。