イメージ写真

売れ行きが順調な中古住宅市場。ただし、報酬の支払い時期には細心の注意が必要

年明け以降、首都圏では中古マンション、中古一戸建て住宅いずれも売れ行きが順調です。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が4月16日に公表した2013年1月~3月の不動産流通市場動向によると、中古マンションの成約件数は6期連続で前年同期を上回り、増加率は2ケタに拡大しています。同様に、中古一戸建て住宅の成約件数も2ケタ増を記録しており、7期連続で前年同期を上回っています。中古の住宅価格が下振れ傾向にあるなか、割安感に魅力を感じて購入に動いている様子が想像されます。

しかし、その割安感に関し、住宅取引時の諸費用面では新築住宅に軍配が上がります。一般に中古住宅は不動産仲介業者の媒介によって住宅の売り買いが行なわれるため、物件の売買が有効に成立した際には仲介業者に仲介手数料を支払わなければなりません。売り主から直接購入する新築住宅の取引にはない支出(諸費用)が発生します。

そのせいか、中古住宅の売買では売り主も買い主も仲介業者に指示されるまま仲介手数料を支払っている印象をぬぐえず、先日、私ガイドが土地売買の契約に立ち会った際にも、仲介業者の担当営業マンが以下のような案内をしていました。

『土地の成約価格は4200万円です。そのため、媒介契約に基づき仲介手数料は138万6000円となり、この半額を売買契約締結時、残りの半額を引き渡し時にお支払いいただきます』――

この説明を聞いた私ガイドは、思わず「仲介手数料は成功報酬主義に基づき、土地の引き渡し時に全額支払うのが本筋です。半額を売買契約時に請求するのは不誠実」と苦言を呈してしまいました。すると、その営業マンは一瞬、困った様子を見せましたが、「分かりました。引き渡し時でかまいません」と当方の主張を受け入れました。もし、私が立ち会っていなければ、売り主も買い主も契約時に半額を支払っていたことになります。

業者が報酬を請求するには、目的たる契約が「有効」に成立していることが必要 

「不動産業はクレーム産業」―― まさに、この日は不動産業界の負の側面を垣間見たようで、気分の悪い一日となりました。一般に仲介業者は、その媒介によって成約に至ったときに報酬(仲介手数料)を請求できるとされているため、不動産実務では仲介手数料を売買契約締結時に半額、そして残りの半額を引き渡し時に請求するのが慣行になっています。上記の営業マンも、この慣行に従い報酬を請求していました。

無論、こうした慣行は違法でも不正でもありません。しかし、あまりにも業者の都合が優先され過ぎています。不動産仲介業者が報酬を請求するに当たり、重要視しなければならない点が欠如しているのです。「成功報酬主義」の不徹底というわけです。

成功報酬主義とは報酬請求権の発生に関し、「仲介業者が報酬を請求するには、目的たる契約が有効かつ確定的に成立していることを必須条件」とする考え方です。たとえば、買い替えを伴う不動産取引では、自宅が売却できて初めて購入の契約も有効になります。目的たる契約が有効に成立するには、「売却」と「購入」の両契約がそろって結実する必要があります。よって、自宅が売却できなければ買い替えは結実しないので、契約は白紙になり、仲介業者への報酬請求権は発生しません。

同様に、住宅ローン特約についても同じ考え方が当てはまります。住宅ローン不成立(融資否認)によって売買契約が消滅してしまえば、報酬請求権も消滅します。そのため、慣行に従い、契約締結時にすでに報酬を受領していたとすると、仲介業者は住宅ローン不成立によって報酬を買い主に返還しなければなりません。契約が確定的に成立していないにもかかわらず、報酬を受領してしまうことの非合理性を露見した格好です。

こんな恥ずかしい失態を繰り返さないためにも、成功報酬は“引き渡し時”に全額請求するのが最も合理的かつ良心的といえます。上記で例示したケースからも分かるように、交渉次第では引き渡し時の一括請求へと条件変更が可能です。要は、契約当事者間で事前に取り決めておくことが重要なのです。仲介業者に指示されたタイミングで報酬を支払う必要はありません。本コラムをお読みの中古住宅検討者の皆さんは、引き渡し時以外に報酬を支払わないようにしてください。

本コラムのまとめ

 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。