大人になったので仲直りして……
ガイド:fantaholicは、マシン担当の高橋ヒロキさんとのユニットだと理解しますが、どのようなきっかけで高橋さんと組むことになったのでしょうか?
佐藤:
高橋さんとは大学のサークルで一緒だったんです。それで最初は高橋さんがベース、私が歌とか、ギターでもうちょっとバンドっぽいのを一緒にやっていたのですけど、その後喧嘩しまして(笑)。でも大人になったので仲直りして、またこんな感じの曲があるんですけどご一緒にやっていただけませんか、とゴリ押しでお願いしたんです。高橋さんてこだわり派で万能なんですよ。
高橋さんはテクノから何からとにかく何でも聴いてらっしゃるんですけど、テクノな曲作りはしたことなくて、2011年の1月からテクノアレンジャーデビューした感じなんです。それなのに、メキメキ名電子音アレンジャーになってくださってですね! 私一人でやってると勢いだけが先走って、ダサカッコいいんじゃなくて普通にダサイ、って感じになる恐れがあるのですが、高橋さんと一緒にやるとそこにいい感じにオシャレグルーヴが加わって素敵になるんです。頼りまくっていて申し訳ないです。私のお願いのせいで忙しくさせてしまっているのでこんなこと言う権利ないかもですが、もっとたくさん寝て欲しいです。fantaholic、アレンジ面は大幅に高橋さんの創意工夫によるものです。
アナログシンセ欲しい!
ガイド:では、デビュー作となるミニアルバム『Me, You, Synthesizer』についてお伺いします。ご自身もシンセサイザーを担当されていますが、タイトルから、シンセサイザーLOVEって感じなのですが、いつ頃からハマっていかれたのでしょうか?
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これもいつからでしょうかね。あ、ハマっていると言っても、お金がないのでヴィンテージシンセ実機は一台も持っていないですよ! 愛、そしてあこがれ、という感じです。元々クラシックピアノをやっていたため鍵盤は弾けたので、バンドでキーボードを頼まれることがあって。それで普通の電子キーボードにはあんまり興味を持てなかったんですけど、楽器屋さんをぶらぶらしていた時、Prophet-5を見つけたんですね。うわ何これ、無闇に高いし、デザインスゴイ! と思って試し弾きして、雷に打たれたようになったんですよ。いや、打たれたもののその後何のアクションも起こしてないんですけどね。だって25万円とか、ないですし……。それで、こういう何かつまみが色々ついててミュオーンとかシュピーンとかって音を出しつつリアルタイムで音色変えられるカッコイイものがこの世にあるのか! と知って、それ以来、アナログシンセ欲しいなって思い続けつつ、ひとまずアナログ・モデリングのソフトシンセで我慢し続けています。
シンセに詳しい友人と「アナログシンセ研究会」ってのを作ったりもしましたね。メンバーは誰もアナログシンセ持っていませんでしたし、研究と言っても、大学で音の研究してる友人がアナログシンセについて何か書いてくれたのを私が読む(しかも1、2回のみで終わった)ってだけだったんですけど。その方は井上和士さんといって、今はKORGで商品開発者になっています。なるべくしてなった感があって素晴らしいですね。
fantaholic本格活動開始してからは、シンセバーのオーガナイズもされている齋藤久師さんに直々に手ほどきしていただく機会もあり、今回のアルバムでは本物のアナログシンセを使って録音することができました。正に夢を叶えた感じで、ヨダレ垂らしまくりでした。いつか欲しいです。アナログシンセ。